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2015.05.15
今回の再検討会議はまだ終了していないが、漏れ聞くところでは、また失敗に終わる公算が大きいそうである。しかし、「中央アジア非核地帯」については進展がみられるので一つの救いとなる。
この条約は中央アジアのカザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンの5カ国を非核地帯とするもので、同条約は2009年に発効した。「非核地帯」とは、一言で言えば、核兵器のない地帯であり、それに該当する条約は世界にいくつかあるが、ただ「ない」と言うだけでなく、使用しない、製造しない、取得しないなども同時に内容とするのが常であり、具体的には条約ごとに異なっている。中央アジア非核地帯条約は、核兵器若しくは核爆発装置の研究、開発、製造、貯蔵、取得、所有、管理の禁止および他国の放射性廃棄物の廃棄許可をすべて禁止している。
このような非核地帯条約は、その地域内の国家が約束しただけではほとんど意味がなく、核兵器を持っている国が、その条約内容を承認し、核兵器の使用や核による威嚇をしない義務を受け入れることが必要である。具体的には、その条約に何らかの形で参加し、批准する。条約成立以来、条約当事国は核兵器保有国の承認を求めて働きかけてきたが、この地域を非核地帯とすることは核兵器国のオペレーションを妨げる恐れがあり、なかなか進まなかった。
しかし、問題点はすでにクリアされ、2014年には、米国、ロシア、英国、フランス、中国の核兵器保有国がこの条約に参加した(同条約の議定書に署名するという形式で)。
そして、ごく最近中国が議定書を批准した(新華社4月28日)。米国も批准案件を上院に提出している。ロシアは部分的に批准した。「部分的に」というのはウクライナ問題の影響らしい。
順調にいけば、中央アジア非核地帯条約はめでたく発効しそうである。その他の類似の条約の中で核保有国がすべて批准しているのはラテン・アメリカ非核兵器地帯条約(通称「トラテロルコ条約」)だけである。中央アジア非核地帯条約は、核保有国の批准が進まない他の条約を追い越して、世界で2番目の完成した非核地帯条約となりそうである。
(短文)中央アジア非核地帯
5月22日まで、核不拡散条約(NPT)の再検討会議がNYの国連本部で開催されている。再検討会議は5年ごとに開催される、同条約最大の会議であるが、失敗に終わることが多い。「失敗」と言うと反論が出るだろうが、1995年と2000年の再検討会議以外は失敗であったと思っている。今回の再検討会議はまだ終了していないが、漏れ聞くところでは、また失敗に終わる公算が大きいそうである。しかし、「中央アジア非核地帯」については進展がみられるので一つの救いとなる。
この条約は中央アジアのカザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンの5カ国を非核地帯とするもので、同条約は2009年に発効した。「非核地帯」とは、一言で言えば、核兵器のない地帯であり、それに該当する条約は世界にいくつかあるが、ただ「ない」と言うだけでなく、使用しない、製造しない、取得しないなども同時に内容とするのが常であり、具体的には条約ごとに異なっている。中央アジア非核地帯条約は、核兵器若しくは核爆発装置の研究、開発、製造、貯蔵、取得、所有、管理の禁止および他国の放射性廃棄物の廃棄許可をすべて禁止している。
このような非核地帯条約は、その地域内の国家が約束しただけではほとんど意味がなく、核兵器を持っている国が、その条約内容を承認し、核兵器の使用や核による威嚇をしない義務を受け入れることが必要である。具体的には、その条約に何らかの形で参加し、批准する。条約成立以来、条約当事国は核兵器保有国の承認を求めて働きかけてきたが、この地域を非核地帯とすることは核兵器国のオペレーションを妨げる恐れがあり、なかなか進まなかった。
しかし、問題点はすでにクリアされ、2014年には、米国、ロシア、英国、フランス、中国の核兵器保有国がこの条約に参加した(同条約の議定書に署名するという形式で)。
そして、ごく最近中国が議定書を批准した(新華社4月28日)。米国も批准案件を上院に提出している。ロシアは部分的に批准した。「部分的に」というのはウクライナ問題の影響らしい。
順調にいけば、中央アジア非核地帯条約はめでたく発効しそうである。その他の類似の条約の中で核保有国がすべて批准しているのはラテン・アメリカ非核兵器地帯条約(通称「トラテロルコ条約」)だけである。中央アジア非核地帯条約は、核保有国の批准が進まない他の条約を追い越して、世界で2番目の完成した非核地帯条約となりそうである。
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