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2020.02.03
対人地雷は、敵国の兵士だけでなく農民や子供なども無差別に殺傷する危険な、非人道性の高い兵器であり、1990年代初頭から禁止する動きが国際的に強くなり、97年に対人地雷禁止条約(オタワ条約)が成立した。
米国、ロシア、中国などは軍の要求が強いので対人地雷も全面的に禁止することには踏みきれず、禁止条約に参加していない。
米国は人道問題に無関心なのではなく、クリントン政権は規制を強めるのにイニシアチブを発揮したこともあったが、全面禁止には賛成しなかった。
米国の主張は、一度埋めた対人地雷をいつまでも放置しているから市民に危険が及ぶのであり、一定の時間が経過すれば埋設地雷が自動的に破壊されるようにすれば、あるいは埋設したものが不必要と判断すれば地雷を掘り起こさなくても破壊できるようにすれば問題はほとんど解消できるというものであった。しかし、これに対して多くの国はコストがかさむことを理由に賛成しなかった。
そのような議論を経た後、軍縮に熱心なオバマ大統領は2014年に、対人地雷の使用禁止に踏み切った。条約に参加したのではなく、米国独自の方針として、朝鮮半島だけは例外としつつ禁止したのであったが、オバマ氏の決断は世界中で称賛された。
トランプ氏は、オバマ氏の決定を覆し、米軍は今後「例外的な状況下」において、世界各地で自由に地雷の設置が可能となると説明している。
中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱と言い、また今回の対人地雷使用規制の解除と言い、トランプ政権は軍縮にいちじるしく後ろ向きである。核兵器の小型化も検討しているという。小型化すれば使いやすくなるというのが賛成論の理由であるが、それは核兵器戦争を惹起する危険極まりない考えである。それはともかく、先端技術を搭載した新世代の地雷は、米軍の安全保障を高めるとトランプ政権は主張しているが、米国と対立する国はやはり対人地雷で対抗するだろう。米国だけの安全が保障されることなどありえない。
米国内でもこのようなトランプ政権の姿勢を批判する論者は少なくないが、その意見が政策に反映されることは当面望めないようである。
対人地雷の使用規制をかなぐりすてるトランプ政権
トランプ米大統領は1月31日、対人地雷の使用規制を緩和すると発表した。これもオバマ前大統領が立てた方針を覆すものである。対人地雷は、敵国の兵士だけでなく農民や子供なども無差別に殺傷する危険な、非人道性の高い兵器であり、1990年代初頭から禁止する動きが国際的に強くなり、97年に対人地雷禁止条約(オタワ条約)が成立した。
米国、ロシア、中国などは軍の要求が強いので対人地雷も全面的に禁止することには踏みきれず、禁止条約に参加していない。
米国は人道問題に無関心なのではなく、クリントン政権は規制を強めるのにイニシアチブを発揮したこともあったが、全面禁止には賛成しなかった。
米国の主張は、一度埋めた対人地雷をいつまでも放置しているから市民に危険が及ぶのであり、一定の時間が経過すれば埋設地雷が自動的に破壊されるようにすれば、あるいは埋設したものが不必要と判断すれば地雷を掘り起こさなくても破壊できるようにすれば問題はほとんど解消できるというものであった。しかし、これに対して多くの国はコストがかさむことを理由に賛成しなかった。
そのような議論を経た後、軍縮に熱心なオバマ大統領は2014年に、対人地雷の使用禁止に踏み切った。条約に参加したのではなく、米国独自の方針として、朝鮮半島だけは例外としつつ禁止したのであったが、オバマ氏の決断は世界中で称賛された。
トランプ氏は、オバマ氏の決定を覆し、米軍は今後「例外的な状況下」において、世界各地で自由に地雷の設置が可能となると説明している。
中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱と言い、また今回の対人地雷使用規制の解除と言い、トランプ政権は軍縮にいちじるしく後ろ向きである。核兵器の小型化も検討しているという。小型化すれば使いやすくなるというのが賛成論の理由であるが、それは核兵器戦争を惹起する危険極まりない考えである。それはともかく、先端技術を搭載した新世代の地雷は、米軍の安全保障を高めるとトランプ政権は主張しているが、米国と対立する国はやはり対人地雷で対抗するだろう。米国だけの安全が保障されることなどありえない。
米国内でもこのようなトランプ政権の姿勢を批判する論者は少なくないが、その意見が政策に反映されることは当面望めないようである。
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