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2017.03.30

教科書検定は古臭い感覚でないか

 小学校の道徳教科書の検定結果が3月24日に公表された。直接検定結果を見たのではなく、二、三の新聞報道からの印象だが、検定は「上からの目線だ」「カビの生えたような古臭い感覚だ」「高齢者を特に重視している」「児童に興味を持たせる発想が希薄だ」と思った。

 小1の教科書では散歩中に友達の家の「パン屋」を見つけた話が教科書原案に書いてあったが、「パン屋」は「和菓子屋」に修正された。修正目的は、「我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着を持つ」点が足りないからだと説明されたそうだが、「和菓子屋」と言っても小学校の1年生にはまず分からないだろう。そのような言いかえは目的にかなうか、さっぱりわからない。
 もっとも、検定意見はすべて取り入れないと教科書として認められないということではなく、「教科書全体で項目全てを扱ってほしいとの意図で、どこを修正するかは教科書会社の判断」と説明されている(『日経新聞』25日付)が、「和菓子屋」への修正意見があったことに変わりはない。
 さらに、「おじさん」が「おじいさん」に、「アスレチックの遊具で遊ぶ公園」が「和楽器店」にそれぞれ修正されたが、「和菓子屋」と同様、そのような書き換えが「我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着を持つ」ことにつながるとは思えない。ちなみに、私は3人の孫を持つ「おじいさん」だが、「和楽器店」へ一度も行ったことがない。アスレチック遊具は何回も見かけたのでそれなりに知っている。

 教科書は児童に興味を覚えさせることを重視すべきだ。かりに「和楽器店」を例にとれば、そこには児童にとって何か面白いことがあることを紹介し、教えてあげるべきだ。そうなっておれば評価したいが、ただ「和楽器店」のイラストだけでは児童は興味を覚えないだろう。かえって面白くないところだと思うかもしれない。

 まさかと思うが、検定委員は「カタカナはだめで、和言葉ならよい」という考えでないことを希望する。日本語の中には外来語が無数にあり、日本人の生活の中に入り込んでいる。そのことも日本の文化だ。そういうと、反論が出るかもしれないが、「日本の文化」を古い頭で、狭く考えないでもらいたい。アニメにも日本文化として世界に誇れるものがある。そういう側面にも注意を払ってほしい。

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