その他
2016.02.10
インドが2月6日に開いた国際観艦式では、日米など約50カ国が参加した。
インドは近年海軍を増強しており、2013年にはロシアから空母の引き渡しを受けた。中国が先にウクライナから獲得した「遼寧」号とよく似た形の飛行甲板である。また、救難飛行艇US2を日本から購入する交渉もしている。
目覚ましい経済発展を遂げ、実力が備わってきているインドとして当然のことであり、とくに、中国が海上のシルクロード建設を進めていることに対抗する点で注目される。
南シナ海については、2014年11月、クアラルンプールでのインド・ASEAN首脳会議でモディ首相は、「インドは1982年の国連海洋法条約を含め国際法に従った航行、飛行、商業の自由の尊重をASEANと共有する。 領土に関する紛争は平和的な方法で解決すべきだ。インドは南シナ海のすべての紛争当事者が行動宣言を順守し、さらに行動綱領を早期に採択するよう努力を強化することを希望する。」とASEAN寄りの発言を行った。
国民会議派中心の前連立政権時代には、中国を刺激しないよう慎重な姿勢であったのとは対照的だった。
2015年1月末、訪印したオバマ大統領とモディ首相は南シナ海問題について特別声明“US-India Joint Strategic Vision for the Asia-Pacific and Indian Ocean Region”を発表し、海洋の安全保障と南シナ海を含む全海域における航行および飛行の自由の確保の重要性を強調した。
さらに、同年10月、インド・フィリピン共同委員会の共同声明は、南シナ海のことをフィリピン側が“West Philippines Sea”と呼んだことをそのまま引用したので、一部報道はこれをもって、インドがフィリピンによる仲裁裁判への訴えを支持した意味合いがあるとコメントしたが、同声明でインド側は、“the West Philippine Sea/South China Sea dispute”と呼んでいた。つまり、インドとしてはフィリピンの使う表現を拒否はしないが、それはSouth China Sea のことだと表現しており、インドがフィリピンの仲裁裁判を支持したとまでは言えない。
しかし、そうであっても、米国の重視する航行と飛行の自由の確保にモディ首相は明確に同調しており、米国が進める、南シナ海における自由航行確保のための国際連帯には参加したと言えるだろう。
モディ首相は、習近平主席との相互訪問を実現しつつ、「一帯一路」のキャンペーンの一環としてパキスタンを始めスリランカ、バングラデシュ、ミャンマーなどへの働きかけを強める中国の動きには警戒しているのだ。モディ首相は、中国については是々非々の姿勢で臨む、中国だからと言って遠慮はしないという方針だと思われる。
以下はインド・フィリピン共同委員会の共同声明の第11項である。
Joint Statement : Third India-Philippines Joint Commission on Bilateral Cooperation
October 14, 2015
Para 11
“Secretary Del Rosario briefed Minister Swaraj on the developments in the West Philippine Sea, and the status of the Philippine arbitration case at the Permanent Court of Arbitration, in The Hague, the Netherlands. Minister Swaraj expressed support for the peaceful resolution of the West Philippine Sea/South China Sea dispute. Both sides reiterated the importance of the settlement of all disputes by peaceful means and of refraining from the threat or use of force , in accordance with universally recognised principles of international law, including the 1982 UNCLOS. The two Ministers asserted the importance of safeguarding the freedom of navigation and overflight in the South China Sea. In this regard, they reiterated the importance of an expeditious conclusion on a Code of Conduct and full and effective implementation of the 2002 Declaration of the Code of Conduct of Parties in the South China Sea.”
インドの南シナ海に対する態度
インドの海軍が15年ぶりに国際観艦式を行なったことがちょっとした話題になっている。観艦式はどの国の海軍にとっても最高の晴れ舞台であり、主要艦が次々に登場し、来賓の前を通り過ぎていく。日本の場合は首相が自衛隊の最高指揮官としてこれを観閲する。インドが2月6日に開いた国際観艦式では、日米など約50カ国が参加した。
インドは近年海軍を増強しており、2013年にはロシアから空母の引き渡しを受けた。中国が先にウクライナから獲得した「遼寧」号とよく似た形の飛行甲板である。また、救難飛行艇US2を日本から購入する交渉もしている。
目覚ましい経済発展を遂げ、実力が備わってきているインドとして当然のことであり、とくに、中国が海上のシルクロード建設を進めていることに対抗する点で注目される。
南シナ海については、2014年11月、クアラルンプールでのインド・ASEAN首脳会議でモディ首相は、「インドは1982年の国連海洋法条約を含め国際法に従った航行、飛行、商業の自由の尊重をASEANと共有する。 領土に関する紛争は平和的な方法で解決すべきだ。インドは南シナ海のすべての紛争当事者が行動宣言を順守し、さらに行動綱領を早期に採択するよう努力を強化することを希望する。」とASEAN寄りの発言を行った。
国民会議派中心の前連立政権時代には、中国を刺激しないよう慎重な姿勢であったのとは対照的だった。
2015年1月末、訪印したオバマ大統領とモディ首相は南シナ海問題について特別声明“US-India Joint Strategic Vision for the Asia-Pacific and Indian Ocean Region”を発表し、海洋の安全保障と南シナ海を含む全海域における航行および飛行の自由の確保の重要性を強調した。
さらに、同年10月、インド・フィリピン共同委員会の共同声明は、南シナ海のことをフィリピン側が“West Philippines Sea”と呼んだことをそのまま引用したので、一部報道はこれをもって、インドがフィリピンによる仲裁裁判への訴えを支持した意味合いがあるとコメントしたが、同声明でインド側は、“the West Philippine Sea/South China Sea dispute”と呼んでいた。つまり、インドとしてはフィリピンの使う表現を拒否はしないが、それはSouth China Sea のことだと表現しており、インドがフィリピンの仲裁裁判を支持したとまでは言えない。
しかし、そうであっても、米国の重視する航行と飛行の自由の確保にモディ首相は明確に同調しており、米国が進める、南シナ海における自由航行確保のための国際連帯には参加したと言えるだろう。
モディ首相は、習近平主席との相互訪問を実現しつつ、「一帯一路」のキャンペーンの一環としてパキスタンを始めスリランカ、バングラデシュ、ミャンマーなどへの働きかけを強める中国の動きには警戒しているのだ。モディ首相は、中国については是々非々の姿勢で臨む、中国だからと言って遠慮はしないという方針だと思われる。
以下はインド・フィリピン共同委員会の共同声明の第11項である。
Joint Statement : Third India-Philippines Joint Commission on Bilateral Cooperation
October 14, 2015
Para 11
“Secretary Del Rosario briefed Minister Swaraj on the developments in the West Philippine Sea, and the status of the Philippine arbitration case at the Permanent Court of Arbitration, in The Hague, the Netherlands. Minister Swaraj expressed support for the peaceful resolution of the West Philippine Sea/South China Sea dispute. Both sides reiterated the importance of the settlement of all disputes by peaceful means and of refraining from the threat or use of force , in accordance with universally recognised principles of international law, including the 1982 UNCLOS. The two Ministers asserted the importance of safeguarding the freedom of navigation and overflight in the South China Sea. In this regard, they reiterated the importance of an expeditious conclusion on a Code of Conduct and full and effective implementation of the 2002 Declaration of the Code of Conduct of Parties in the South China Sea.”
アーカイブ
- 2024年8月
- 2024年7月
- 2024年6月
- 2024年5月
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年10月
- 2023年9月
- 2023年8月
- 2023年7月
- 2023年6月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年9月
- 2022年8月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年12月
- 2017年11月
- 2017年10月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年9月
- 2016年8月
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月
- 2015年11月
- 2015年10月
- 2015年9月
- 2015年8月
- 2015年7月
- 2015年6月
- 2015年5月
- 2015年4月
- 2015年3月
- 2015年2月
- 2015年1月
- 2014年12月
- 2014年11月
- 2014年10月
- 2014年9月
- 2014年8月
- 2014年7月
- 2014年6月
- 2014年5月
- 2014年4月
- 2014年3月
- 2014年2月
- 2014年1月
- 2013年12月
- 2013年11月
- 2013年10月
- 2013年9月
- 2013年8月
- 2013年7月
- 2013年6月
- 2013年5月
- 2013年4月