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2014.06.10

集団的自衛権に関する1972年の政府見解

政府は、日本が集団的自衛権を行使できるようになってもどのような場合でも行使するのではなく、一定の場合に制限されると説明しており、その根拠として、72年に田中内閣が示した政府見解を持ち出す考えであり、閣議決定案では、この見解を使って「我が国の存立を全うするために必要な自衛のための措置」に限って集団的自衛権を行使できると明記する考えだと6月10日の『朝日新聞』が報道している。
この報道が正確であるとして、政府はなぜ72年の政府見解が閣議決定の根拠として使えると考えたのであろうかを推測して見ると、同見解は、日本が「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置」を取ることを認めており、かつ、「自衛の措置」とは個別的自衛権の行使か集団的自衛権の行使かを区別していない、つまり集団的自衛権が一定の場合行使できるとの考えに立っていたと解したためかもしれない。
しかし、この引用した説明は72年の政府見解の一部に過ぎない。同見解は「憲法は(中略)自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない。しかしながら、だからといって、平和主義をその基本原則とする憲法が、右にいう自衛のための措置を無制限に認めているとは解されないのであって、それは、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るための止むを得ない措置としてはじめて容認されるものであるから、その措置は、右の事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものである。そうだとすれば、わが憲法の下で武力行使を行うことが許されるのは、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られるのであって、したがって、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は、憲法上許されないといわざるを得ない。」と述べている。
太字で示したとおり、「他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は、憲法上許されない」と明言しているのである。ここまで正しく読めば、72年の政府見解が一定の場合集団的自衛権の行使を認めていたと解することはできないのは明らかである。したがって、現在想定されている閣議決定の根拠にはなりえないと考えられる。


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