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2014.02.17

核兵器の非人道性に関するメキシコ会議

核兵器の非人道性について議論する会議が2月13~14日、メキシコ西部のヌエボバジャルタで開催された。メキシコの議長が核廃絶についてかなり踏み込んだ発言をしたこと、次回会議を2014年中に開催するオーストリアからの参加者も非常に積極的に取り組む姿勢を見せていることなどが報道されている。日本から出席した外務省の軍縮課長はかなり困難な立場に置かれたそうで、次回参加するかどうかあらためて検討するという趣旨のことを述べたので、被爆者やNGOから不満の声が出たらしい。
今回のメキシコ会議についてはいくつか思うことがある。
第1に、メキシコ会議のテーマは「核兵器の非人道性」でなかったか。このテーマに関して2012年から何回か国際会議が開かれ、昨年の国連総会第1委員会(軍縮担当)では、日本も同意できる内容となり、声明に参加した。日本政府の関係者の努力に私もささやかながら賛意を表明した経緯がある。
第2に、今回のメキシコ会議ではその声明を単に繰り返すだけではすまず、さらに一歩進めようとしたのであろう。どの方向に進めようとしたのかが問題であり、大きく言って3つの方向が考えられる。1つは、議長が強調したように、核廃絶の方向に進むことである。「核兵器の非人道性」から「核廃絶」に関心が拡大するのはある意味で自然なことであるが、日本政府としてはこのような方向に議論が拡大することに困惑したのだろうか。しかし、日本は毎年の国連総会で核軍縮決議を成立させる推進役となっている。他にも類似の核軍縮決議はあるが、日本が進めているのは賛成国がもっとも多い。そうであれば、議論が核軍縮に拡大しても、待ってましたと歓迎するというとやや悪のりの感じになるが、少なくとも困らないのではないか。
第3に、核兵器の人道性について、当初は「核兵器の違法性」をテーマとしており、後に「非人道性」に手直しされてきたが、両者は密接に関連し合っている。1996年に国際司法裁判所はその勧告のなかで、「一般的には核兵器は非人道的」であり、「原則違法(これは私の表現で、実際にはもっと複雑な文章である)」と明記した。非人道性会議も声明のなかでこのことを明言すべきである。
第4に、非人道性については、被爆者の体験をどのようにこの一般的な命題につなげていくか。これは簡単でない。世界には、被爆者に対して面と向かっては言わないが、被爆者だけが非人道的な攻撃を受けたのではないと考えている人がいる。私は軍縮大使時代、そのような考えの某国大使と大激論をしたことがある。
第5に、今や米国の駐日大使が広島と長崎を訪問する時代になっており、オバマ大統領の訪問も実現するかもしれない。その場合、米国として核兵器の非人道性の問題をどのように認識するのであろうか。ちなみに、米国には原爆投下を命令したトルーマン大統領の時代から核兵器の非人道性を認識し、指摘していた政治家がいたことは周知の事実である。


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