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朝鮮半島

2019.03.04

米韓合同軍事演習の終了

 3月2日、米韓両国は毎年春に実施してきた合同軍事演習を終了することを決定した。野外演習の「フォール・イーグル」も指揮所演習の「キー・リゾルブ」も終了するが、指揮所演習についてはこれまでより小規模の合同演習「同盟」が3月4日から12日まで行われる。

 合同軍事演習を終了させた理由について、トランプ大統領は、コストがかかりすぎることを上げてきた。金正恩委員長との第1回首脳会談後の記者会見で言及して以来、韓国との合同演習を少なくとも9つ中止してきた。
 
 ハノイでの第2回会談後の記者会見でも「軍事演習はしばらく前にやめた」と述べていた。この発言と今回の決定は、矛盾しているようにも聞こえるが、トランプ大統領は会談以前から終了させる気持ちを持っていたことをこのような形で表現した可能性がある。演習の終了を金委員長との会談で伝えたかについては、米国だけで決定できないので明言はしなかったはずだが、大筋の考えは伝えたものと思われる。

 ともかく、米韓合同演習を終了する正式の決定は、今回の会談で成果を上げられなかった金委員長に対して大きなギフトとなり、また、今後の交渉継続に米国として本気であることを示す意味もあるるだろう。今回の会談の結果、金委員長の立場が弱くなったという趣旨の観測が現れている。北朝鮮の特殊事情にかんがみるとそのような観測が的を得ているか疑問の余地があるが、いずれにしても演習終了の意義は大きい。

 米朝間交渉にとってのみならず、長年続いてきた朝鮮半島の緊張を緩和する意義もある。画期的な決定である。

 米国と南北朝鮮の間では朝鮮戦争の終了宣言が話題になっている。それは政治的には意味はあるが、実質的には合同演習の終了のほうが重いことである。

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