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2013.12.27

安倍首相の靖国神社参拝

12月26日、安倍首相が靖国神社を参拝したことに関して、複数のプレスからコメントを求められた。私の語ったことの要点は次の通りである。

「戦争で命を落とした軍人の霊を慰めるのは非常に重要なことである。今回の参拝についてもその目的としてそのようなことが掲げられており、その限りにおいて評価しうる。
しかし、戦争を指導した人を顕彰すべきでなく、いわゆるA級戦犯を祭っている靖国神社に日本政府の指導者が参拝すべきでない。宗教法人である靖国神社がA級戦犯を祭ることは神社が決めることであるが、戦争の指導者を祭ることはどうしても戦争を指導したことを顕彰する意味合いが出てくる。だから参拝すべきでない。これが私の基本的な考えである。

中国や韓国が反発するから参拝すべきでないというのではない。多数の犠牲者を出した国の感情に配慮するのは当然であるが、それよりも日本自らの問題として考えなければならない。

米国政府は東アジアの現状に憂慮し、なんとか緊張が緩和するよう要望しており、先のバイデン副大統領の3国歴訪もその表れであった。また、日本の現政権の歴史問題に関する姿勢について疑念を抱いており、米国の新聞は批判したこともある。このような状況にあって、今回の安倍首相による靖国神社訪問を遺憾に思うのは米国として自然なことであろう。日本は今後戦争の犠牲になった近隣諸国によく配慮していく必要がある。」

戦没者の慰霊についての私の考えは、2013年6月23日の「オピニオン」に掲載した一文に詳しく説明しています。18年前に読売新聞に寄稿したものです。


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