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2013.11.17

特定秘密保護法案

特定秘密保護法案の問題点。
政府が一定のことを国民に知らせないことはどこの国でもありうる。何を秘密にするかについて、特定秘密保護法案は「我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがある」場合に特定秘密として指定するとしているが、これではあまりに抽象的であり、指定されることが多くなりすぎる恐れがある。
日本の各省庁では以前から秘密の指定を行なっており、名称は必ずしも一致していないが、「取り扱い注意」という軽い指定から「秘密」「極秘」など異なる段階の指定があり、実際には指定が時間の経過とともに増加する傾向がある。官僚にとって、しかるべき秘密の指定を怠れば責任を追及されるが、過剰指定のために責任を追及されることはまずないからである。
また、米国ではconfidentialもあればsecretなど異なる段階の秘密指定があり、米国から秘密の情報を提供される場合、そのいずれかが示されるが、日本側では secretが「特定秘密」にあたるとして扱うのか。しかし、それでは「特定秘密」の範囲が広くなりすぎないか。また、米側では程度の低い秘密指定であっても、日本側では「特定秘密」に指定する必要がある場合があるのではないか。
秘密指定の有効期間は、特定秘密保護法案では5年が原則とされているが、延長が可能であり30年を超えて指定が解除されない場合もあることが規定されている。しかるに秘密指定を解除する際に、日米の間には違いがあるのではないか。
米国では公文書の公開に強い力が働く。政府と民間の関係が日本と異なることが背景にあろう。官尊民卑でない。「お上」の感覚は少ない。知る権利の主張が強いなどの事情である。
日本の官僚は秘密指定の際には熱心になるが、秘密指定の解除には無関心である。米側から公文書が公開されても日本側からは依然として秘密にされる場合がこれまで何回もあった。日本の現代史研究者が公開された米国の公文書によって研究を進めることは現在でもよくある。
さらに、米国の場合、違法な情報リークがある。米国は日本の秘密保護の制度が弱いと思っているかもしれない。制度という点では、公務員法はたしかに弱いかもしれないが、重要な情報が漏れるのは日本側からだけであったか。WikileaksやSnowdenの問題などは、米国政府が絶対に認めないだろうが、だからといって、米国政府の説明をうのみにするべきでない。
どうしても特定秘密保護法を制定するのであれば、5年の指定有効期間経過後は原則すべて公開、秘密の扱いを続けるのであれば、裁判所などの許可を条件にするべきである。現在は内閣が決めれば延長は可能になっているが、日本の省庁が延長を申請してきた場合に内閣が拒否することなどありえない。日本の内閣と省庁との関係を知っている者であれば、常識であろう。かりに、有識者とか、「第三者機関」などであっても、本当に独立・中立であるのはきわめてまれではないか。


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