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2013.10.16

北朝鮮への禁輸物資の流入

北朝鮮がぜいたく品の輸入を増加させている。たとえば、日本でも最近注目されている韓国製高級化粧品が店に並んでいるそうであり、国連の対北朝鮮措置で禁輸の対象となっているものである。中国経由で北朝鮮へ運び込まれたらしい。しかも、北朝鮮では、それが陳列されている様子を外国人に写真撮影させている。国連の禁輸は効果がないことをアピールしようとしているのであろう。
北朝鮮がぜいたく品を輸入するのはそれが必要だからである。北朝鮮の経済状況が劣悪であることに変わりはないが、経済状況が改善されている面もある。このことはかねてから一部に知られていたが、ここ二、三年ぜいたく品の輸入が急増しているのもそのような状況を反映していると思われる。
北朝鮮は、半年前くらい前は核開発と経済発展を同時に進めると言い、また最近は経済発展だけを強調する場合が出てきている。北朝鮮が経済を重視しようとしているのは明らかであろう。
金正恩第一書記の指示でスキー場を建設し始めたのも同じことであるが、こちらは禁輸の影響で必要な資材が入手できず進んでいないらしい。十分な需給分析をした結果であるか疑わしく、これも指導者の気まぐれで始められたことでなかったか。
中国から禁輸の対象品が北朝鮮に流入しているのは問題である。北朝鮮との国境の町、丹東で10月11日から4日間、中国と北朝鮮の共催で見本市が開催され、機械や食品などのメーカー600社余りが参加した。ところが、北朝鮮側の企業のなかに、国連安保理が2013年1月の決議で新たに制裁の対象に加えた「リョナ機械合営会社」が含まれており、展示用の機械も会場に搬入されていたそうである。
中国は国際社会の厳しい目を意識してか、今年の春ごろから北朝鮮に対する対応を厳しくした。その一つが北朝鮮との銀行間取引を禁止したことであり、これはかなり効き目があったようであある。
さらに9月23日、中国は北朝鮮に対する制裁措置として禁輸の対象となる技術及び物資のリストを発表した。236ページに及ぶ詳細なものである。他の国連加盟国はこのような具体的リストを発表しておらず、それぞれの国内法令にしたがって禁輸を行なっているだけなので、中国の取った措置は目立っているが、対外的に中国の姿勢をアピールすることを意識しているのはもちろんとして、同時に禁輸の実行が甘い地方の関係当局や業者に徹底させる狙いもあるのであろう。


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