中国
2017.10.13
陳敏爾は1960年、浙江省紹興市に属する諸曁(しょき)市で生まれた。学歴は紹興師範専科学校中国文学部までで、その後は就職して地元の紹興県や寧波市で勤め、順調に昇進して、習近平が浙江省の書記に就任した2002年には、同省の宣伝部長になっていた。陳敏爾は、習近平が浙江省の書記であった間に認められたという。
陳敏爾は2012年、故郷の浙江省から貴州省に移り、3年後に同省の書記に就任した。同人は貴州省でも顕著な実績を上げたと言う。さる4月、習近平は、今次党大会への代表となるのに貴州省の党委員会から出ることとした。これは陳敏爾への信頼の表明でもあった。貴州省は中国の辺境地域であり、統治はそれだけ困難である。そこで比較的短期間に実績を上げた陳敏爾の力はなみではないのだろう。
陳敏爾は、報道通りであれば、今回の党大会でナンバー3の地位に就く可能性がある。これは大抜擢である。しかし、5年後にはたして中国のナンバーワンになれるか、疑問なしとしない。
陳敏爾の学歴は師範専科学校卒であり、これは日本の短期大学に相当する。共産主義国家にあって、本来、学歴は人物評価の基準にならないはずだが、鄧小平後の指導者はいずれも高学歴の持ち主であり、前総書記の胡錦濤も、現総書記の習近平も清華大学卒であり、習近平は博士号も取得している。陳敏爾の学歴はこれらに比べればやや見劣りする。
職歴も、貴州省での実績はあるが、習近平や胡錦濤と比べればまだ経験が少ない。
陳敏爾の後ろ盾となっているのは習近平総書記であり、次世代の指導者となる最低限の条件は満たしている。しかし、江沢民や胡錦濤は鄧小平によって認められていたし、習近平は革命元老の子(いわゆる「紅二代」)である。一般に、紅二代が政界や経済界で活躍することに否定的な見方が強くなっているが、有能な人物が多いのも事実であり、かつ、その人脈が広いのは大きな利点である。陳敏爾にはこれがない。
このように見れば、実績においても、後ろ盾の点でも、知名度においても陳敏爾はこれまでの指導者とかなり違っていることは否めない。また、習近平はこれまで、党や軍の改革を通じて権力を一身に集め、「核心」と呼ばれる特別の指導者に祭り上げられるまでになった。国外では習近平は独裁者になったとも言われている。
陳敏爾が総書記となってもこのような特別な地位をそのまま引き継げるか疑問である。何らかの中間的措置が取られる可能性もある。また、いずれにしても、習近平の影響力が強く残る公算が大きいと思われる。
陳敏爾‐習近平の後継者になれるか
陳敏爾は、つい最近まで内外のチャイナ・ウォッチャーから、ポスト習近平の候補者として全くと言ってよいほど注目されていなかったが、さる7月中旬、重慶市で起こった政変により孫政才が左遷された後に同市の書記(同市のナンバーワン)として就任し、がぜん注目を浴びるようになった。しかし、陳敏爾は、その経歴からして中国の指導者にふさわしいか、考えさせられる点がある。陳敏爾は1960年、浙江省紹興市に属する諸曁(しょき)市で生まれた。学歴は紹興師範専科学校中国文学部までで、その後は就職して地元の紹興県や寧波市で勤め、順調に昇進して、習近平が浙江省の書記に就任した2002年には、同省の宣伝部長になっていた。陳敏爾は、習近平が浙江省の書記であった間に認められたという。
陳敏爾は2012年、故郷の浙江省から貴州省に移り、3年後に同省の書記に就任した。同人は貴州省でも顕著な実績を上げたと言う。さる4月、習近平は、今次党大会への代表となるのに貴州省の党委員会から出ることとした。これは陳敏爾への信頼の表明でもあった。貴州省は中国の辺境地域であり、統治はそれだけ困難である。そこで比較的短期間に実績を上げた陳敏爾の力はなみではないのだろう。
陳敏爾は、報道通りであれば、今回の党大会でナンバー3の地位に就く可能性がある。これは大抜擢である。しかし、5年後にはたして中国のナンバーワンになれるか、疑問なしとしない。
陳敏爾の学歴は師範専科学校卒であり、これは日本の短期大学に相当する。共産主義国家にあって、本来、学歴は人物評価の基準にならないはずだが、鄧小平後の指導者はいずれも高学歴の持ち主であり、前総書記の胡錦濤も、現総書記の習近平も清華大学卒であり、習近平は博士号も取得している。陳敏爾の学歴はこれらに比べればやや見劣りする。
職歴も、貴州省での実績はあるが、習近平や胡錦濤と比べればまだ経験が少ない。
陳敏爾の後ろ盾となっているのは習近平総書記であり、次世代の指導者となる最低限の条件は満たしている。しかし、江沢民や胡錦濤は鄧小平によって認められていたし、習近平は革命元老の子(いわゆる「紅二代」)である。一般に、紅二代が政界や経済界で活躍することに否定的な見方が強くなっているが、有能な人物が多いのも事実であり、かつ、その人脈が広いのは大きな利点である。陳敏爾にはこれがない。
このように見れば、実績においても、後ろ盾の点でも、知名度においても陳敏爾はこれまでの指導者とかなり違っていることは否めない。また、習近平はこれまで、党や軍の改革を通じて権力を一身に集め、「核心」と呼ばれる特別の指導者に祭り上げられるまでになった。国外では習近平は独裁者になったとも言われている。
陳敏爾が総書記となってもこのような特別な地位をそのまま引き継げるか疑問である。何らかの中間的措置が取られる可能性もある。また、いずれにしても、習近平の影響力が強く残る公算が大きいと思われる。
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