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2017.02.14

(短文)中国の経済統計は信頼できない?


 中国では経済統計の水増しがかなり広範に行われているらしい。40年前の文化革命時でなく、現在のことである。
文化大革命のときは、工業でも農業でも生産量が水増しされ、誇大に報告されることは日常的に行われていた。それも数%のことでなく、何倍にもなっていた。
 1980年代以降、すなわち改革開放政策が実施されて以降、状況は大きく改善され、とくに中国が2001年にWTO(世界貿易機構)に加盟してからは統計の水増しは基本的に解消されたと思われていた。
 しかし、実際の状況は複雑で、近年経済成長が一けた台に落ち込んでからはまたぞろ水増し報告が行われるようになったらしい。
 米国に本拠がある『多維新聞』2月6日付が報道している状況は概略以下のとおりである。

「山東省の郭樹清省長は2月6日、省政府活動報告の中で虚偽の数字を報告してはならないと呼びかけた。
 遼寧省の陳求発省長は今年の1月、同省の人民代表大会(議会)で、同省の市、県で2011年から14年の間に虚偽の財政数字が使われ、しかもその数字は官庁から出たものであったことを指摘した。これは地方の人民代表大会で公になった初の虚偽統計である。
 報道では、遼寧省の虚偽報告は金融危機が起こった2008年以前から行われており、2009年と2010年の同省統計公報ではこの2年間の輸出入データは消失したことになっている。実際にはマイナスだったためだ。しかし、この2年間のGDP成長率はそれぞれ13.1%、14.1%になっていた。
 2012年に開催された中国共産党第18回全国代表大会(18全大会)では、中国のGDPと都市住民の一人当たり収入を2010年水準から2020年に倍増することが目標とされた。しかし、このような水増しした数字を使えば、達成はさらに困難になる。
 中国国家統計局長は、中国の統計は全般的には正確だと言っている。しかし、虚偽報告は他の省でも行われている。東北地区ではすべての省に問題があることを政府系新聞でさえ報道している。
 2016年1月、腐敗取り締まりのため巡視組が遼寧省に派遣された時、数字をごまかして私腹を肥やしている例があると指摘された。
 武漢市でも同様の汚職事件が起こっている。
 2016年10月、中央深化改革小組(政治改革の推進母体)は「統計の管理体制の改革を進め、統計の真実性を高めるための意見」を採択した。これに基づき、国家統計局長は具体的な措置に関する通達を行った。統計数字の虚偽報告は全国的な問題だ。」

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