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2017.01.19

(短評)フィリピンの中国に対する抗議


 フィリピン外務省は昨年12月、在フィリピン中国大使館に対して、スプラトリー諸島での中国の行動に抗議する内容の口上書を送致した。「口上書」とはいくつかの外交文書の中でもっとも軽く、事務的なものであり、「声明を文書にしたもの」である。通常は担当者が持参して読み上げ、先方に手交する。
 フィリピンの口上書の全文は発表されていないが、フィリピンの外相と国防相が1月17日に説明した。ヤセイ外相は、中国批判はせず、「問題は慎重に扱う必要があるが、われわれはなすべきことを怠ってはいない」と述べるにとどめた。
 一方、ロレンザーナ国防相は、「争いの対象になっている岩礁での中国による軍事化は大変問題である。そのような行為は、中国は平和的、友好的であるという説明と一致しない(”The actions of China in militarizing those disputed features are very troubling,” “They do not square with the Chinese government’s rhetoric that its purpose is peaceful and friendly.”)」と外相より厳しく中国を批判した。
 外相としてはフィリピンが中国から巨額の経済援助を得ることになっているのであからさまに中国を批判したくなかったのであろう。

 フィリピンは今のところは中国の行動に目をつぶる方針だろうが、将来、中国から得られる援助と中国の行動で失うもののいずれが大きいか問われる事態に立ち至ることもありうる。
 今回の口上書による抗議は、先のドゥテルテ大統領訪中の際に形成された中比関係が修正されることになるかもしれないことを示唆する出来事だと思われる。

 なお、米国議会での審議の際、国務長官候補のティラーソン氏が「紛争下にある島嶼から中国を押し戻し、そしてアクセス禁止にする必要がある」と述べたことに関し、ヤセイ外相は「米国が行えばよい」と他人事のようにコメントしていた。

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