オピニオン
2017.10.24
「日本政府は、自衛隊の行動に関する権限の強化と並行して、防衛体制整備としていくつかの措置を講じました。
まず、2013年に、国家安全保障会議(NSC)を設置しました。安全保障は外務省および防衛省を中心に複数の省庁にまたがるので、政府として一体性のある、機動的な対応が必要であり、この会議はそのための司令塔の役割を果たします。
防衛予算は安倍第2次内閣成立までの数年間減少してきましたが、この減少傾向をストップさせて5年連続増額し、2017年度防衛予算は前年度当初比1.4%増の5兆1251億円となり、過去最高を更新しました。
この中には、尖閣諸島など島嶼部防衛対策費、さらには、いわゆる「イージス・アショア」、つまり、イージス艦に搭載している迎撃ミサイルシステムを陸上に配備するための費用が含まれています。
秘密保護法は、公務員らの情報漏えいに関する脅威が高まっている中で、外国の情報機関などとの情報共有を円滑に行うために必要な法整備として、2013年、制定されました。これは「防衛」「外交」「特定有害活動の防止」「テロリズムの防止」に関する情報の管理を厳格化しようとする法律で、これらの情報を扱う公務員の身辺調査なども含まれており、それではプライバシーの侵害が起こるという理由で反対する声が上がっています。また、テロ対策として原子力発電や放射線被害に関する情報の伝達が阻害される危険があるとも言われています。
さらに、この法律はメディアへの悪影響が大きく、自由な取材が損なわれるという懸念も上がっています。
武器は、これまで日本から外国への輸出を認めていませんでしたが、2014年、「紛争地などへは武器を輸出しない」という原則は維持しつつ、日本の安全保障に資するなど一定の条件を満たせば輸出を認めることにしました。武器輸出や技術移転を通じ、相手国と安全保障関係を強化することが狙いだと説明されていますが、日本製の武器は高価格なため輸出の大幅な増加は見込めないとも言われています。
「組織的犯罪処罰法」の改正は「テロ等準備罪」(「共謀罪」とも呼ばれる)を処罰するもので、範囲が広すぎるという理由で強い反対がありましたが、日本政府は、テロ対策のために、また、「国際組織犯罪防止条約」の批准(署名はすでに行った)のために必要との認識の下に2017年、成立させました。
しかし、この法律が適用される範囲は非常に広く、しかも明確になっていないとの批判があり、たとえば、国会では、数人で花見に行っただけでも共謀罪に問われることもありうるのではないかという質問が提出されました。政府側はそのようなことはないと答弁しましたが、納得はなかなかえられませんでした。
全体的に、安保関連法案についての審議は十分でなかったという印象を国民は抱いたと思います。「権限篇」の「存立危機事態」に関して、法律案に明記されていることと異なる内容の答弁が行われたのは問題答弁の最たる例でした。また、審議が途中で打ち切られ、「強行採決」と言われる事態に陥ったこともありました。
安全保障については今後もさまざまな場面で政府の説明が求められるでしょう。政府には、審議の時間の長さや形式だけでなく、内容について十分な説明が求められます。」
《安倍政権5年》NSC設置に秘密保護法、共謀罪……防衛体制を整備
安倍政権5年における防衛体制の整備について、次の一文をザページに寄稿しました。「日本政府は、自衛隊の行動に関する権限の強化と並行して、防衛体制整備としていくつかの措置を講じました。
まず、2013年に、国家安全保障会議(NSC)を設置しました。安全保障は外務省および防衛省を中心に複数の省庁にまたがるので、政府として一体性のある、機動的な対応が必要であり、この会議はそのための司令塔の役割を果たします。
防衛予算は安倍第2次内閣成立までの数年間減少してきましたが、この減少傾向をストップさせて5年連続増額し、2017年度防衛予算は前年度当初比1.4%増の5兆1251億円となり、過去最高を更新しました。
この中には、尖閣諸島など島嶼部防衛対策費、さらには、いわゆる「イージス・アショア」、つまり、イージス艦に搭載している迎撃ミサイルシステムを陸上に配備するための費用が含まれています。
秘密保護法は、公務員らの情報漏えいに関する脅威が高まっている中で、外国の情報機関などとの情報共有を円滑に行うために必要な法整備として、2013年、制定されました。これは「防衛」「外交」「特定有害活動の防止」「テロリズムの防止」に関する情報の管理を厳格化しようとする法律で、これらの情報を扱う公務員の身辺調査なども含まれており、それではプライバシーの侵害が起こるという理由で反対する声が上がっています。また、テロ対策として原子力発電や放射線被害に関する情報の伝達が阻害される危険があるとも言われています。
さらに、この法律はメディアへの悪影響が大きく、自由な取材が損なわれるという懸念も上がっています。
武器は、これまで日本から外国への輸出を認めていませんでしたが、2014年、「紛争地などへは武器を輸出しない」という原則は維持しつつ、日本の安全保障に資するなど一定の条件を満たせば輸出を認めることにしました。武器輸出や技術移転を通じ、相手国と安全保障関係を強化することが狙いだと説明されていますが、日本製の武器は高価格なため輸出の大幅な増加は見込めないとも言われています。
「組織的犯罪処罰法」の改正は「テロ等準備罪」(「共謀罪」とも呼ばれる)を処罰するもので、範囲が広すぎるという理由で強い反対がありましたが、日本政府は、テロ対策のために、また、「国際組織犯罪防止条約」の批准(署名はすでに行った)のために必要との認識の下に2017年、成立させました。
しかし、この法律が適用される範囲は非常に広く、しかも明確になっていないとの批判があり、たとえば、国会では、数人で花見に行っただけでも共謀罪に問われることもありうるのではないかという質問が提出されました。政府側はそのようなことはないと答弁しましたが、納得はなかなかえられませんでした。
全体的に、安保関連法案についての審議は十分でなかったという印象を国民は抱いたと思います。「権限篇」の「存立危機事態」に関して、法律案に明記されていることと異なる内容の答弁が行われたのは問題答弁の最たる例でした。また、審議が途中で打ち切られ、「強行採決」と言われる事態に陥ったこともありました。
安全保障については今後もさまざまな場面で政府の説明が求められるでしょう。政府には、審議の時間の長さや形式だけでなく、内容について十分な説明が求められます。」
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