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2013.10.26

核不使用声明と日本政府

核兵器不使用声明に日本が賛成した。この声明は2012年春のNPT 準備委員会の際に始められた運動で、回を増すごとに賛同国が増えていき、今年4月のNPTの会議では80ヵ国になり、今回、国連総会第1委員会では125ヵ国と大幅に増加した。
政府が広島および長崎の被爆者の声に耳を傾け、新しい決断をしたことは評価できる。「従来の方針を変更して」という修飾語を付け加えたいが、この声明の内容は毎回少しずつ異なっているので、同じ内容の声明に対する日本政府の態度が変わったというわけではない。最初の声明では、「核兵器の違法性」が主たる内容であったが、後に「核兵器の不使用」に焦点があてられるようになった。「違法性」と「不使用」は密接な関連があり、昨年から行われてきた声明は一つの流れの運動であるが、内容が変わっていないとは言えないので日本政府が態度を変えたとは言えないのであろう。
今回の決定を発表した岸田外相は、「適切な修正がなされ、全体の趣旨を精査した結果、我が国の立場からも支持しうる内容と判断した」と説明しており、声明の内容が変化したことを強調しているが、このような説明はせっかくの決断を色あせたものにしてしまうのではないか。これでは、日本は何も変わっておらず、声明の内容が変わったと言わんばかりである。そうではないであろう。日本政府も声明も両方とも努力したのではないか。
さらに言えば、外相の説明は日本の安全保障政策に変化はないということに重点を置きすぎている。核兵器は使用すべきではないという国際社会の運動に日本が参加するかいなかが要の問題であり、外相は日本が変化したことを強調すべきであった。変化しなかったことを強調したのは官僚の発想に引きずられたためではないか。
近く、岸田外相が司会する軍縮関係の会議が予定されていると聞く。その際には外相には、日本が努力していること、変化したことを強調してもらいたい。


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