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2016.08.19

(短評)核の先制不使用宣言

 最近(7月?)、米国のオバマ大統領が核兵器の先制不使用宣言を行うことを検討しているということが判明し、これに対し、日本政府は米国政府に対し、そのような宣言を行うことについての懸念を伝えたと報道されている。
 
 日本が核の先制不使用宣言について、懸念であれ、反対であれ、表明するのは問題であり、国益を害する恐れさえあると思う。
 形式的には、不使用宣言をすることによって従来と違った姿勢になる印象があるかもしれないが、実際には米国が核を使うかもしれないということが変わらない限り、抑止力に変化はないからだ。不使用宣言は姿勢だけのことである。
 もっと深刻な問題は、日本が核を使うことをもっとも強く主張していると、米国から第三国に言われる恐れがあることだ。大統領や外交の責任者である国務長官がそのようなことを言うとは思えないが、副大統領くらいなら言うかもしれない。最も信頼する同盟国が日本を貶めようとしてそのようなことを言うのではない。米国には、日本などと同様感受性、ガードが低い人がいるからであり、そのようなことを考えないのはあまりにも甘いと言わざるを得ない。
 日本はかつて、北朝鮮が生物兵器や化学兵器を使う可能性があるという議論に関連してそう言われたことがあったではないか。日本のイメージが損なわれたのではなかったか。
 さらに問題なのは、このような重要なことが政府の高官から簡単に米国に伝えられ、それが日本国の考えとみなされてしまう恐れがあることだ。核は日本にとってどの国よりも国民的関心が高い問題であり、核についての発言は国民的合意の範囲から離れないように注意してもらいたい。

 以上のことは国連核軍縮作業部会での対応にも当てはまる。

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