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2018.05.07

核兵器禁止条約とNPTの違い

 4月23日から5月4日まで、ジュネーブにおいて核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議準備委員会が開催された。107カ国が出席し、日本を含め多くの国は閣僚級を代表として派遣した重要会議であるが、注目度は低かった。専門以外の人にとってはわかりにくいことが一つの問題なので、今回の会議をできるだけわかりやすく、あまり細かい問題に立ち入らないで説明してみたい。

 NPT(核兵器不拡散条約)は1970年に発効して以来、5年ごとに「再検討会議」を開催している。NPTにかかわるさまざまな問題、たとえば、核の廃絶は進んでいるかなどを検討するためである。外務省は「再検討会議」でなく、「運用検討会議」と呼んでいる。英語ではreview conferenceである。

 5年たつといきなり再検討会議が開かれるのではなく、そのまえに、3回「準備委員会」が開催されている。扱う問題について各国の意見の違いが激しいからである。世界には多くの条約があるが、このように大掛かりで、複雑な会議は他にないと思う。今回開かれたのは2020年再検討会議のための第2回準備委員会であった。

 今回の準備委員会でもっとも注目されていたのは2017年に採択された「核兵器禁止条約」の扱いであった。

 NPTと「核兵器禁止条約」の違いはなにか。NPTは米国、ロシア、英国、フランスおよび中国が核兵器を保有することは認めつつ、他の国へ「拡散」するのを防止することが主たる目的である。この「拡散防止」とは、これら5カ国以外の国には保有など核兵器に関するすべてのことを禁止するという意味であった。

 一方、「核兵器禁止条約」は5カ国を例外扱いしていない。この点が両条約の最大の違いである。

 「核兵器禁止条約」は、「核兵器の開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用及び威嚇としての使用」をすべて禁止しており、また、現在保有している核兵器は廃絶することを義務付けている。NPTは、5核兵器国にはこれらをほとんどすべて認めている。ただ、核兵器の「使用」や「威嚇」は認めると書いてないが、禁止されているわけではない。

 この二つの条約を比較すれば、もちろん「核兵器禁止条約」のほうが徹底している。この条約制定を推進した国々は、NPTでは抜け穴があるため、長年経っても核兵器の廃絶が実現しないのだと主張する。

 しかし、核兵器国は、現実の世界で核兵器を禁止してしまうことはできない、また、そうすることはNPTと矛盾することになるとして反対し、条約に参加しないでいる。核の傘に依存している日本や西欧諸国も参加していない。日本は、被爆国であり、率先して核廃絶運動を進めていくべき立場にあるのに核兵器国と同じ立場に立つべきでないとして批判される。この批判は厳しいものである。


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