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2016.03.22

ドローンの規制に関する法律はできたが

 首相官邸など重要施設を無人飛行機(ドローン)による攻撃から守るための規正法は3月17日、ようやく成立した。「ようやく」というのは、この法律案が衆議院で承認され参議院に送られた後、8カ月余り結論が出なかったからだ(継続審議になっていた)。参議院で修正・承認されたのが今年の3月16日、翌日に衆議院で可決され成立した。
 この法律案は、2015年6月12日、古屋圭司議員らにより衆議院に提出され、さらに原発や防衛省なども防護の対象とする修正案が泉健太議員らによって提出された。最初の提案も修正提案も重要なものだ。

 法律の正式名称は「国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」である。
 防護の対象は、国会、首相官邸、外国の大使館、それに原発など「原子力事業所」とその周囲おおむね300メートルの地域である。
 これら地域は厳しい監視の下に置かれ、例えばその上空ではドローンを飛ばすことはできなくなった。
 危険なドローンが防護施設内に侵入してきた場合、どうしても必要であればそのドローンを破壊することも可能になっている。同法第8条2項の「対象施設に対する危険を未然に防止するためやむを得ないと認められる限度において、同項の小型無人機の飛行の妨害又は破損その他の必要な措置をとることができる。」という規定であり、テロ攻撃の場合は、瞬時に判断し危険を防がなければならないので重要な規定だ。
 共産党と社民党はこの法案に反対した。委員会での質問で塩川鉄也議員は、「飛行による危険や被害の内容を問わず、規制対象が不明瞭な「小型無人機」を飛ばしただけで直ちに懲役刑をふくむ刑罰を科すことは「刑罰法規としての合理性を欠く」と述べている。
 ドローン規制は過剰にならないようにしなければならないのは当然だ。理想論を言えば、さらに議論が深められ、全党一致で承認されればよかったとも思われるが、主要国サミットが間近になっているのでそうも言っておれなかったのかもしれない。しかし、それならなぜ参議院で長い間継続審議となったのかという疑問もわいてくる。

 ともかくドローンの規制法が成立したのは一歩前進だ。しかし、このような規制でテロ攻撃を防げるか、疑問が残る。この法律は、たいして早くない速度のドローンを警察官が発見するとそれを操縦している者に対して規制対象から離れるよう指示することなどを定めている。そのように丁寧に対応することは必要だろうが、仮定の話として高速のドローンにより爆発物が運ばれたら、とてもそのようなことをする時間的余裕はない。必要なら破壊できるといっても、その判断は瞬時に行う必要がある。
 
 かつて、都内の某所から発射されたロケット弾が東宮御所近くに落下したことがあった。これは30年も前のことである。操縦可能なドローンの危険性はその比でない。
 一方、規制を強くすると国民生活への影響が大きくなるのは問題だが、規制法ができたからと言って安心するのは早すぎる。

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