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2015.08.17

(短評)東京裁判の見直し

 自民党は東京裁判や連合国軍総司令部(GHQ)による占領政策などを検証するための党内機関を発足させると報道されている。
 
 大きく言って2つ問題がある。
 1つは、日本と旧連合国が戦争を法的に処理したサンフランシスコ平和条約に違反する恐れがあることだ。同条約において日本は東京裁判の結果を受け入れた。もし東京裁判に異を唱えれば、条約違反になる。
 日本には、同条約の内容にも、東京裁判にもさまざまな意見があり、中には認めないというのもあるが、この条約は日本が戦後国際社会に復帰するに際し国際社会と交わした約束であり、憲法と並んで日本国の在り方を定めた根本規範である。日本国としては憲法と同様順守しなければならない。不適切なことがあったと言って是正を要求できるものではない。
 条約は締約国がすべて同意すれば改正できるが、戦争を終了させたサンフランシスコ平和条約も改正できると考えるのは現実を知らない議論だ。法律の世界で確立された法理にかなっているか否かなど、残念ながら意味を持たない。この点は国内法と異なる。
 条約の改正に他の締約国はどうしても同意しないが、それでも日本として条約を守れないなら戦争を起こして無理やりに改正するしかない。これが現実である。このことを無視して、「法理にあっていないから要求するのは当然だ」というのはあまりにナイーブであり、かつ、国を誤る危険な主張だ。

第2に、東京裁判や占領政策を検証した結果、なにをするのか。東京裁判については、それを不当と考え、やり直しを要求できるかはすでに論じたとおり、できない。
占領政策については、米国に対し注文を付けることを考えるのか。これまたできない。

 要するに第1の問題も、第2も、戦争の結果を受け入れるか否かである。受け入れるに際して日本はさまざまな苦痛をこらえてきた。戦争裁判を現在の感覚で整理しなおし、考え直すのは、戦争の悲惨さ、非合理性を身をもって教えてくれた犠牲者に顔向けできないことではないか。

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