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2015.06.22

日韓国交正常化50周年 両国関係を改善しよう

 今年は日韓国交正常化が実現して50周年、両国で慶祝行事が行われる。
 両国間の歴史においてはさまざまな困難があり、日本による韓国併合は今日に至るも負の影響を残している。村山首相以来日本の歴代首相は、植民地支配によって韓国の人々に多大の苦痛と損害を与えたことを直視し、痛切な反省と心からのお詫びを表明してきた。
 日韓両国は大きな努力を払って困難を克服し、関係を改善してきた。たとえば、韓国の対日差別的文化政策の撤廃により日韓間の文化交流は飛躍的に発展した。これにより両国民が得た利益は計り知れない。今後も両国間の交流をさらに深め、相互理解を増進し、協力しあう分野を拡大していきたい。
 しかし、ここ数年、両国の関係は歴史問題などのために落ち込み、『朝日新聞』と韓国の『東亜日報』の共同世論調査によると、関係が良好でないと思っている人は日本で86%、韓国では90%と異常な高さに上っている。安倍首相と朴槿恵大統領の首脳会談が一度も実現していないことはそのような状況にある両国関係を象徴している。

 この度国交正常化50周年が両国で慶祝されるに際して、両首脳が別々にではあるが、日韓両国の大使館で開催される行事に出席することとなった。これは大きな前進である。
 韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外相はすでに来日して岸田外相と、さらに安倍首相とも会談している。外相会談では日本の産業革命遺産の世界遺産への登録について双方が歩み寄って合意に達し、また、百済の歴史遺跡の登録に両国が協力することを約すなど、大きな成果を上げた。
 一方、両国間にはなお解決すべき問題がある。韓国側は、日本の、とくに安倍首相の歴史に向き合う姿勢を問題視している。
 一方、韓国側には政治と司法の両方にまたがる問題がある。その一つの例が産経新聞記者の裁判であり、韓国政府の取った措置は報道の自由を妨げるのではないか。
 また、韓国政府は、朴槿恵政権が成立する以前であったが、慰安婦問題に関し韓国の憲法裁判所が下した決定に促され、それまでの態度を変えて日本政府に国家補償を求めるようになった。
 これらは行政府だけの責任でなく、司法にまたがる問題であることは分かるが、憲法裁判所の決定だからと言って韓国政府が従来の見解を変えることは日本として受け入れられない。当然のことであるが、両国は日韓基本条約および請求権協定で決定したことを尊重する義務があり、韓国側が日本側の解釈に同意できないのであれば、同協定3条に明記されている方法で、つまり仲裁により解決を図る必要がある。
 日韓両国政府が関係改善に動き出し、一歩どころか二歩も前進しているときにこんなことを言い出さなくてもよいと思われるかもしれないが、両国間の関係がさらに進展することを願うからこそ指摘しておきたい。
 安倍首相と朴槿恵大統領には首脳会談を実現してほしい。そのために、安倍首相から、前提条件を付けず、歴史問題も含め両国間のあらゆる問題について話し合う用意があることを伝えるのが望ましい。
 朴槿恵大統領は歴史問題について結果が出ることが先決などと言わないでほしい。
 個人の信条はともかく、国家の指導者として議論し、お互いに確かめ合い、疑問を呈し、誤解があればその解消を図るべきであり、それは安倍首相も朴槿恵大統領もできるはずである。

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