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2016.06.08

(短文)中国の蔡英文新政権に対するハラスメント

 5月31日のHPに「台湾の歴史と新政権-教科書問題」を掲載したが、中国の蔡英文新政権に対するハラスメントとしては以下の出来事も省けない。米国に本拠がある『多維新聞』5月25日付などが報道していることだ。

 24日、「蔡英文の正体(起底蔡英文)」と題する論文が新華社傘下の『国際先駆導報』に掲載され、新浪、網易、捜狐などの大手サイトもそれを転載した。新華網も一時転載した(順序は新華網が先だった可能性がある)。
 執筆者は台湾との関係の窓口である海峡両岸関係協会の理事、王衛星であり、その内容は、蔡英文が独身であることを理由にしてその行動と政策を論じるという非常識なものだった。それだけでもこの論文の程度の低さが分かるだろうが、王衛星は蔡英文を「女政客」と呼び、独身だから「愛情など情感で引き留められることがない」「家族の制約もない」「子供のケアをする必要もない」「その行動は偏っており、身勝手であり、また極端になる」などと暴言を書き連ねた。
 これにはBBCやVOAなど欧米のメディアは敏感に反応し、また、中国のインターネットも王衛生論文は女性蔑視であると厳しく批判して、「これまで読んだ中で最も愚かで人を傷つける文章だ」「むかつく」などと書き込み、王論文は炎上した。
 さすがに中国の当局もこの論文を問題視して削除し、翌日にはどのサイトでも見られなくなった。削除を指示したのは習近平主席であったとも言われている。

 さる1月、台湾の総統・立法院の選挙で民進党が大勝して以来、中国の台湾政策はどうなるか注目されていた。従来、中国は国民党との関係を重視し、民進党は強く警戒していたが、その方針は裏目に出たからである。
 しかし、中国は台湾政策を修正しようとしていないようだ。それどころか、蔡英文新政権に対しハラスメントを強化するようになっている。王衛生のこの論文など最たるものである。
 客観的に見れば、中国にとって政策変更が必要な状況が生じているが、そのような場合にどのように対応するか。現政権の柔軟度/非柔軟度が問われていると思う。

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