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2016.03.02

(短評)朴槿恵大統領の対日姿勢

 朴槿恵大統領は「三一節(1919年3月1日に日本から独立を求める運動が起こったことを記念する日)」で恒例の演説を行った。歴代の大統領は毎年この日に重要演説を行なっており、日本に対する姿勢を示すバロメータのような意味がある。
 朴槿恵大統領は就任直後の三一節(2013年)で「加害者と被害者という歴史的立場は千年の歴史が流れても変わらない」と述べるなど毎年厳しい対日認識を示していたが、今年はそのような激しい言及はせず、「歴史の過ちを忘れず、合意の趣旨と精神を完全に実践に移し、未来世代に教訓として記憶されるように努力しなければならない」と、歴史にも言及しつつ建設的な物言いに徹した。

 朴槿恵大統領は昨年11月の安倍首相との会談以来、難問の慰安婦問題を含め日本を批判するのでなく、協力して解決していこうという姿勢になっていた(当研究所HP2月15日「韓国のリバランシング?」)。今回の三一節演説はそれを再確認する意味がある。朴槿恵大統領が未来志向的になったと片づけるのは言い過ぎだが、対日姿勢を転換させた努力は率直に認めてよい。
 一方、北朝鮮に対して朴槿恵大統領は、「住民から搾取し、核開発だけに集中することで政権を維持することはできず、無意味だということを明確に悟らせなければならない」と厳しい言葉で批判した。北朝鮮の指導者のしていることがいかに愚かなことか、上からの目線で教えてやるという意味合いも感じさせる批判だ。このように言えば、北朝鮮は当然激烈に反発することを承知の上でこう言ったのだろう。今の朴槿恵大統領には、剣士が真っ向から相手に対して打ちかかることをほうふつさせるところがある。

 ともあれ、慰安婦問題の日韓合意についてはまだ強い反対勢力が残っており、韓国政府は説得に努めている。日本政府としてもいたずらに各国を刺激しないよう注意が必要だ。日本の論理で一部表現の正誤などを声高に言揚げすることなど、問題の解決に役立たないどころか、国益に反する。国際社会が何を問題にしているかを見定めなければならない。

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