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2014.11.15

米中間新信頼醸成措置

オバマ大統領の訪中に際し合意された両国軍の間の信頼醸成措置に関する米国の諸報道から要点を抽出した。

米中両国は艦船や航空機による衝突を回避するための協定(MMCA Military Maritime Consultative Agreement)を1998年に締結した。2014年、APEC首脳会議終了後のオバマ大統領訪中の際には、信頼醸成のために新たに2つの合意が達成された。1つは重要な軍事活動を一方が行なう場合、他方に通報することである、もう1つは、艦船あるいは航空機が接近した場合の行動規範についての合意である。これらの合意によって、米中両国は今後誤解を少なくし、予測可能性を高め、危機に陥る危険を少なくできる
両方の合意とも2013年に習近平主席が訪米した際、オバマ大統領に提案したものである。
主要が軍事活動には、防衛報告と軍事演習が含まれる。米国はDefense Strategic Guidance、Quadrennial Defense Reviewおよび毎年の議会に対する報告などを中国に通報する。一方、中国は防衛白書などを発表する場合に米国に通報する。両国とも防衛政策を変更する場合通報する。
両国の軍はアジア太平洋で軍事演習をする場合通報するが、そのタイミングはそれぞれの国が決定する。将来は事前の通報に進むことが期待されている。
米側はまた、弾道ミサイルや宇宙へのロケット打ち上げについても通報するようにしたいが、中国側はそれに応じていない。中国とロシアは互いに相手国の方向へ向かって戦略ミサイルを発射する場合通報することに2012年12月合意している。
海上での行動規範には、両国の艦船が接近した場合の行動のガイドラインが含まれている。このガイドラインは1972 Convention on the International Regulations for Preventing Collisions at Sea (COLREGS)および Code of Unplanned Encounters at Sea (CUES)に基づいている。今後の米中間交渉では航空機同士、および航空機と艦船が接近した場合の行動規範についても合意することが期待されている。
中国はこのような行動規範について合意することを長年拒んできた。2001年に米国の偵察機と中国の戦闘機が衝突する事件が起こった後も、中国は、そのような合意を結ぶと中国の近辺で活動する米国機の行動を認めることになるという理由で拒んできた。しかし、習近平の下で中国は事故を回避すること、米軍とより協力的な関係を築くことが「新しい大国関係」のために望ましいと考えているという姿勢を見せるようになった。習近平は人民解放軍に米軍と協力するよう説得したのであろう。
今回米中間で合意された信頼醸成措置は積極的な意義があるが、実行されることが重要である。また、現在の合意は履行が任意的となっているが、将来義務的にするべきである。また、履行状況を検討するために定期的に会合を開くことが望まれる。


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