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2020.02.12

新型コロナウイルス肺炎と台湾

 台湾における新型コロナウイルスによる肺炎の感染者数18人(2月10日の厚生労働省の発表)であり、周辺の香港36人、フィリピン3人、ベトナム14人、マレーシア17人、シンガポール43人、韓国27人と比較して高くないが、特に少ないわけでもない。

 この中でフィリピンが特に少ないのは、各国に先駆けていち早く中国からの入国を完全禁止するなど果断な措置を取った結果であるという印象もあるが、新型コロナウイルスによる感染者数の把握は困難であり、また時間の経過とともに急速に増大していることも斟酌する必要があろう。

 フィリピンはさらに10日夜、入国禁止措置の対象地域に台湾を含めると発表した。フィリピンの新型コロナウイルスに関する強い警戒姿勢がここにも表れているが、その際行った「一つの中国政策に基づくもの」との説明はいただけない。中国の主張はともかく、事実として台湾は中国の一部でないし、独自の防疫体制を敷いていることを無視しているからだ。台湾は一方的な決定を改めるようフィリピン側に申し入れると表明している。

 台湾がWHO(世界保健機関)から締め出されていることはかねてから問題となってきたが、今回の新型コロナウイルスに関連して台湾は再び苦痛を強いられている。

 WHOは公式サイトで公表している「状況報告書」の1月22日版で、台湾を「中国台湾(Taiwan China)」と表記。同23、24日版は「台北直轄市」とし、同25日版以降、「台北」としていたが、最新の2月5日版では「台北および周辺地域」に変えた。いずれも中国国内の他の省市と並べて表記した。
 また、2月4日には、当時10人だった感染者数を13人と発表。その後修正されたが、誤った数字が記載されたのは中国当局が提供した情報が原因だったという。台湾が「われわれは台湾だ。WHOは名称をいったい何度、変えるのか。多くの国が台湾は中国の感染地域にあると誤解し、非常に困っている」と強く反発したのは当然であった。

 台湾が中国からいじめを受けていることは各国で注目され、台湾に同情する声が上がっている。日本では安倍首相が1月30日、参議院予算委員会で「政治的な立場からこの地域は排除するということを行うと、地域全体の健康維持、感染の防止は難しくなる」と答弁した。蔡英文総統は同日の記者会見で「新型肺炎の問題を通じ、世界が防疫における台湾の重要性を理解してきた。米国や日本の支持に感謝したい」と述べている。

 各国の声援があってか、2月11日から始まったWHOの緊急会合では台湾の専門家も参加が認められた。彼らは「台北」からの参加と位置づけられ、また、テレビ会議の形式であった。これでは台湾にとっては問題が完全に解消したわけではないだろうが、全く拒否されるよりはましであろう。

 台湾は2003年にSARSが流行した際、防疫体制の不手際から60人以上の死者を出した(中国に次いで多かった)苦い経験がある。情報が遅れたともいわれていた。それが真の原因か否かはともかく、その時の経験から今回の新型コロナウイルスによる感染には神経質に対応している。当然である。またWHOとしては台湾での対応が遅れをとらないよう細心の注意を払うべきである。

 来る5月初め、WHO総会を迎えるに際しては、台湾の参加が、オブザーバーとしてでもよい、認められるべきである。どの国も中国の台湾についての立場に穴をあけようとしていない。ただ、感染の拡大を防止する国際的体制を整備・改善するには、台湾を中国の各都市と同列に扱うのでなく、独自の防疫体制を持つ地域として扱うべきである。

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