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2016.02.05

(短文)中国の台湾工作会議

 2月2日、中国で台湾工作会議が開かれた。台湾での総統・立法院選挙で国民党が大敗した後初めて開かれた台湾関係の大会議である。
 中国が今後、台湾政策をどのように展開していくか、強い関心が持たれている。最大の問題点は、「中国との良好な関係」が選挙において国民党に有利に働いたかということであるが、有利に働かなかったという印象が強い。とくに、「中国人とは思わない。台湾人だ」という意識が強くなっている台湾人には、国民党によるそのようなアピールは効き目がなかった。
 これは中国にとって深刻な事態なはずだ。今まで中国は、中国との関係が重要であることを台湾に対してアピールし、国民党もそのことを強調して民進党と戦い、成果を上げてきた。2008年に民進党から政権を取り戻したときはまさにそうだったのだが、今回の総統・立法院選挙ではそのようなアピールがきかなかった。
 では中国として今後どうするのか。もし、国民党が再び勢力を回復するという予想に立てれば、これまでの国民党にすり寄る方針を変える必要はない。しかし、もしそういう予想に立てないのであれば、中国は今後台湾の何を頼りに台湾政策を展開していくか、想像もつかない。

 背景説明が長くなってしまったが、北京で開かれた台湾工作会議で、「中共中央對台領導小組副組長(共産党中央の台湾指導小組の副組長)」の俞正聲政治局常務委員は従来の台湾政策を繰り返し、肝心の、今後の国民党との関係については、「両岸は一つの中国であることを認める台湾のすべての政党と政治団体との交流を強化し、両岸の同胞と一緒に両岸の共同の政治基礎を擁護していく」と述べただけであった。国民党とは言わなかったが、この発言に合う政党は国民党しかいない。したがって、俞正聲は国民党との関係を含め、従来通りの方針を繰り返したに過ぎなかった。
 中国としては当面このように言うほかないだろうが、台湾問題の去就は中国の政治を揺るがしかねない大事になりつつある。中国は台湾の約60倍の人口を持つ巨大国家であり、これまでは台湾に強い影響を及ぼしてきたが、今後、台湾の状況が中国に影響することが強まるのではないかと思われる。

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