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朝鮮半島

2021.04.09

北朝鮮と米国が乗り越えなければならないこと

 4月16日にワシントンDCで行われる菅首相とバイデン大統領との会談では、北朝鮮が議題の一つになる。

 バイデン政権としての北朝鮮政策は現在検討中と聞くが、①北朝鮮による核とICBMの実験停止の継続、②北朝鮮に対する国連および米国による制裁の実行・維持、③非核化協議の再開、を中心に構成されると思われる。この3つの問題はお互いに関連しあっており、前進させるか否かは、バイデン大統領と金正恩総書記の政治的な意思にかかっている。前政権においてはトランプ前大統領の個人的な関心と働きかけが金総書記との3回の首脳会談を実現する原動力となった。

 バイデン大統領にはトランプ氏のような北朝鮮に対する特別の関心はなさそうだ。そうであれば、北朝鮮についても、外交のプロの意見と手順を重視する実務的な姿勢が強く出る可能性があるが、いずれにしても米朝間にはどうしても乗り越えなければならない問題がある。

 最大の問題は米朝双方が、おたがいに信頼していないことである。米国から見れば、米国を信頼しないのは北朝鮮の見方が間違っているからであり、信頼性の問題などありえないだろう。しかし北朝鮮から見れば、米国は危険な国であり、北朝鮮を敵視している。その証拠に米韓両軍は毎年北朝鮮を仮想敵国とする演習を行っている。制裁も科している。

 非核化交渉においても、結局信頼性の欠如が足かせとなった。米国は、非核化を実行するにはいったんすべての核をテーブルに乗せる必要がある、と主張した。これに対し北朝鮮は段階的核廃棄を主張し、結局折り合いはつかなかった。北朝鮮としては、すべての核をさらけ出すと米国は攻撃してくる恐れがあると思ったのであり、米国がそんなことはあり得ないと言っても、北朝鮮は信用しない。1990年代の中葉、米国政府が北朝鮮を攻撃することの適否を検討したことがあったのは世界中に知られている。あながち北朝鮮だけの被害妄想ではないのである。

 一方、米国としては、段階的非核化ではどのくらいの核を隠しているかわからない。廃棄したのは北朝鮮が痛痒を感じないものばかりかもしれない。段階的非核化は非核化を実行しない隠れ蓑になる、とみる。

 トランプ氏の場合は、そのような両者対立の状態を動かす意欲とアイデアがあり、核ミサイルの実験停止という効果を上げることができた。外交面でトランプ氏は様々な問題を起こしたが、核ミサイルの実験停止は日本から見ても積極的に評価できることであった。

 バイデン氏の場合は未知数であり、これまで知られていることから判断すると、北朝鮮について新機軸を考える必要はないということになるかもしれないが、核ミサイルは日米だけでなく世界の問題であり、バイデン政権においても非核化交渉を進めてもらいたいし、信頼性の壁を何とか乗り越える工夫を期待したい。それは不可能でないはずである。

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