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2015.05.12

(短文)イスラム過激派のリクルート‐香港など

米国の『VICE』誌の記事を4月14日付の『大公報』紙が報道している。その要旨。

 「過激派組織ISのリクルート目標の一つは多数のイスラム教徒がいる新疆である。この他、アフガニスタン、パキスタン、タジキスタンなども標的になっている。

 香港に住んでいる東南アジア出身のイスラム教徒はリクルートの格好の対象になっており、ISのリクルート担当者はインドネシア人メイドにビラを配り、アラーをたたえ、彼女たちに黒っぽく地味な服装をするよう勧めるとともに、志のある者は新疆へ行って言葉で使命を聞くよう呼びかけている。
 2014年7月、ISの指導者バグダディは、「兄弟であるあなたたちを我々は待っている」とビデオ声明で呼びかけた。その当時はあまり注目されなかったが、最近、香港やその他の地で起こっている事件にかんがみると、バグダディの呼び掛けには注意が必要である。

 シンガポールの国防戦略研究所の報告では、アジアから少なくとも千名のイスラム教徒がシリアおよびイラクの戦闘に参加しており、その大部分はインドネシアとマレーシアからである。8月にシリアで死亡したマレーシアから来たMat Sohの生前のプロフィールと葬儀の際のビデオが過激派の中で出回っている。」

2015.04.28

(短文)日米防衛協力指針(ガイドライン)の改定

 日米両国は防衛協力のためのガイドラインを4月27日に改定した。
これまで両国間の防衛協力は旧ガイドラインでアジア太平洋に限られていたが、このような制限は取り払われ、世界のどこでも自衛隊が活動できるという指針に置き換えられた。自衛隊が実際に地球的規模で活動するには、現在準備中の安保関係法制がどのような内容で成立するかにかかっているので、新ガイドラインに改められたからと言って直ちに自衛隊が世界的規模で活動できることになるのではない。
 日米の防衛協力ガイドラインは、日本国憲法の制約の下にはあるが、日本の法律のレベルでは非常に大きな意味を持っており、今後制定される安保関係法律は、ガイドラインに従ってと言うのは言い過ぎとしても、それと整合性のあるものになるであろう。
 実際にどのような状況になるかを考えてみると、かつてのユーゴやコソボで行われたような作戦が考慮される場合、米国としては、日本の自衛隊も協力してくれないか検討することになろう。日本国がそれに応じるか否かは別問題である。2014年の閣議決定で定められた、したがってまた準備中の法律で定められる集団的自衛権の発動の要件を満たすか、政府は検討することとなる。
 また国会の事前承認も必要であるが、果たしてそれが有効に機能するか。これまでの安保関係国会審議を見ていると、事前承認があるから安心とはとても言えない。イデオロギー的理由からの反対を重視すべきだからでなく、民主的な政治過程が有効に機能するか、疑問があるからである。

2015.04.16

(短文)核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議

 4月27日から5月22日まで、国連本部において核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議が開催される。再検討会議は、同条約が1970年に発効して以来5年ごとに開かれる重要な会議であるが、うまくいったことがほとんどない。個人的な見解では、1995年と2000年の2回しか成功しなかった。「成功」とは、会議の開催目的が多少なりとも達成されたことを意味するとしておく。8回開催して2回しか成功しなかったというのはまことにひどい状況であるが、そうなるのは、扱う問題が核兵器の拡散の防止などきわめて特殊で、デリケートな問題だからであり、現実的に見ればやむをえないのかもしれない。

 さる4月11日、我が国の軍縮学会が開かれた。必ずしもNPT再検討会議の準備が主要議題ではなかったが、今後のことを展望するのに有益であった。
 一つの大きな問題は「核兵器禁止条約」である。現在はまだ構想の段階にあるが、歴史は古く1960年代、NPTが成立する以前からの経緯がある。
 内容的には、「核兵器の禁止」を直接目指すのがよいか、それとも、まず「核兵器の違法性」あるいは「核兵器の非人道性」あるいは「核兵器の一部禁止」に焦点を当てていくのがよいかという問題があり、それぞれに長所、短所がある。
 また、政治的なモメンタムをどのようにして作り出すかも難問である。1995年に少しでも前進できたのは、核兵器国が譲歩しなければ、条約の規定にしたがってNPTが消滅してしまうという問題があったからである。
 オバマ大統領が「核のない世界」を目指すことを打ち出した時も大きなモメンタムが生まれたが、どこまで実現に近づけたか、評価は分かれるだろう。ともかく、今、モメンタムはほとんど消滅している。だから、今年の会議の行く末が心配なのである。

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