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2016.02.08

(短評)北朝鮮の「人工衛星」打ち上げ

 北朝鮮が打ち上げる「人工衛星」は本当に「人工衛星」なのか、それとも「ミサイル」と解すべきか、明確でなく、国際社会では「ミサイル」とみなされることが多い。今回の打ち上げに関しても、日本では「事実上の弾道ミサイル」と言っているのをよく耳にするが、違和感を覚える。
 「人工衛星」であれ、「ミサイル」であれ、使用されるロケットは同じであり、違うのは用途に過ぎないからだ。本当はどちらとも決めにくい。
 国連安保理は、「人工衛星」であれ、「ミサイル」であれ、北朝鮮が発射することを禁止しているが、「北朝鮮が主張する人工衛星はミサイルだ」とまで言っているのではない。「弾道ミサイルのテクノロジーを使ういかなる発射も禁止」と言っているだけなのだが、誤解を生む一因になっているようだ。
 安保理決議があえてそのような文言を使って、本来どこの国でもできる「人工衛星」の打ち上げをも禁止したのは、北朝鮮が以前から東アジアの安定を脅かす危険な行動をしてきたからであり、また、「人工衛星」を「ミサイル」の隠れ蓑にしているという疑念を払しょくできないからだ。

 北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD)という、北米をミサイル攻撃から防衛するシステムがあり、冷戦時代はソ連からの核搭載ミサイルが飛んでこないか、レーダーで監視していた。世界で不審な飛行体を監視している最高権威といってよい防衛システムだ。
 今回、NORADがどのような発表をするか。待たれる。北朝鮮が前回(2012年末)「人工衛星」と称するものを打ち上げた時、NORADは同日中に、発射の事実とともに「軌道に入ったらしい(appeared to achieve orbit)」と発表した。
今回、すでに発射の翌日(の3時半)になったが発表はない。まもなく発表されるのか。それとも発表についての方針が変わったのか。状況は不明だが、これが発表されると判断するのに極めて有力な根拠となる。

 ともかく、呼称についての混乱は遠からず解消されるだろう。北朝鮮が「人工衛星」と呼ぶものが地球を周回する軌道に入り、かつ、電波を送ってきていることが確認されても、「それは人工衛星ではない。ミサイルだ」と言い続けるのは困難だ。
 北朝鮮については批判しておけば済むようなところがあるので、安易になりがちだが、真実に向き合わなければ前に進めない。

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