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2016.01.12

(短評)米中両国が加わったアフガニスタン・パキスタン会談

 1月11日、アフガニスタンにおける和平の実現のためにアフガニスタン、パキスタン、米国、中国の協議が行われ、共同声明も発出された。
 アフガニスタンでは、タリバンとアフガニスタン政府の話し合いが2015年7月から中断している。タリバンと政府軍および米軍との戦いは一進一退、あるいはタリバンの攻勢が強くなっている面もある。10月には北部の主要都市クンドゥズが、一時的であったがタリバンに占領され政府側は強い衝撃を受けた。
 アフガニスタン政府を支援していた米軍など各国軍はすでに撤退済みか、残っていても数は大幅に減少している一方、アフガニスタン政府の軍・警察は腐敗のため十分機能しておらず、状況は厳しい。
 
 中国はアフガニスタン支援に参加していないが、アフガニスタンおよびパキスタンは隣国同士であり、「一帯一路」構想実現のカギであるパキスタンのグワダル港から新疆へ通じるルートの安全のためにも、また、アフガニスタンで事業を展開したい中国企業のためにも(当研究所HP2014年6月30日「各地の反体制派」)、アフガニスタンが平和で安定した状態になることを望んでいる。
 アフガニスタン政府としてもカルザイ前大統領時代から中国との関係増進を図っており、2014年9月に就任したガニ新大統領も就任の翌月、米国より先に中国を訪問したくらい熱意を示している。
 そのような事情から、米国は中国に対し、西側がアフガニスタンから撤退した後を肩代わりしてほしいと希望していた(当研究所HP2013年7月27日「中国に大国の覚悟はあるか」)。西側が大きな犠牲を払ってアフガニスタン支援を行ない、平和になると中国が経済面でアフガニスタンと関係を深めることには複雑な気持ちを抱いていた可能性もある。
 初めて実現した今回の協議であるが、今後「4カ国調整グループ」として定例化することが合意された。タリバンとアフガン政府が昨年7月に中断した直接対話を「直ちに行う必要がある」とも強調した。

 次回会合は18日にアフガンの首都カブールで開き、和平へ向けた工程表について話し合うそうだ。
 米国が中国の協力を積極的に評価しているのはもちろんだが、中国の軍事的影響力の拡大については警戒心があるだろう。このあたりのバランスはまだ明確でない。

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