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朝鮮半島

2018.02.13

北朝鮮との対話に関するペンス副大統領と文大統領との会談

1.ペンス副大統領はトランプ政権の中で、北朝鮮に対して圧力を強化することのみを重視する人物の一人だとみられていたが、今回平昌オリンピックに出席した際に文在寅大統領と会談した内容は、そのような先入観を打ち破るものであった。2月11日の『ワシントンポスト』紙が掲載した、Josh Rogin記者のペンス副大統領とのインタビュー記事であり、次の諸点が注目された。

〇ホワイトハウスと韓国大統領の間で新しい了解(understanding)が作られた。

〇米国と韓国は、北朝鮮問題について、今後、まず韓国が行動し、そして米国が、すぐに参加する可能性があることで合意した。The United States and South Korea agreed on terms for further engagement with North Korea — first by the South Koreans and potentially with the United States soon thereafter.
〇米国と同盟国は北朝鮮が非核化のために明確な措置(clear steps toward denuclearization)を講じない限り、制裁措置を強化し続ける。しかし、北朝鮮がそのような措置をとることは、予備会談(preliminary talks)の条件でない。もし北朝鮮が対話したいのであれば、我々も対話に応じる。
〇北朝鮮は対話に応じる代わりに米韓合同演習の延期を求めてくるかもしれないが、それはありえない。また、米国が近く発表する追加的制裁はかつてない強いものであり、北朝鮮は核・ミサイルの実験を再開するかもしれない。そうなると、外交的話し合いは停止するだろう。

〇文大統領はそういう事態にならないよう努力している。文氏は北朝鮮の招待に応じて、ピョンヤンを訪問することを検討している。文氏は、また、北朝鮮に対して米国とできるだけ早期に対話するよう勧めている。

〇ペンス副大統領は今回アジアを訪問中、毎日トランプ大統領と相談した。

2.トランプ政権は圧力を強化する点では日本政府と同じ考えだが、北朝鮮との対話について前向きである。少なくとも、その可能性を考慮しているのは明らかであり、日本政府の発表とは異なっている。
米国にとって日本は重要な同盟国であり、日本政府に真意を隠すことは考えられず、安倍首相には説明しているはずであるが、なぜそれは日本国内に伝わらないのか。日本政府の北朝鮮問題の扱いには問題がある。

 なお、ペンス副大統領の説明では、文在寅大統領がピョンヤンを訪問することに米国は必ずしも反対でないことがうかがわれる。

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