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2017.05.29

G7首脳会議-トランプ大統領の初舞台

 今年の主要国(G7)首脳会議はイタリア・シチリアのタオルミーナで開催された。G7とは何か。分かりにくいと思っている人が少なくないだろうし、その意義となるとさらにはっきりしないが、今年のG7の最大の特徴はトランプ米国大統領が出席したことであった。

 トランプ大統領はさまざまに言われているが、国際協調に全く後ろ向きだったのではない。貿易に関してトランプ氏はかねてから中国、ドイツ、日本などとの不均衡を問題視するあまり保護主義的措置をいとわない姿勢を示してきたが、今回の首脳会議では、「我々(G7の首脳)は,不公正な貿易慣行に断固たる立場を取りつつ,我々の開かれた市場を維持するとともに,保護主義と闘うという我々のコミットメントを再確認する」と、G7として保護主義に反対することに合意した(共同声明パラ19)。
 去る3月、ドイツで開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議で、米国は、例年言及されてきた「保護主義への対抗」を共同声明に盛り込むことに反対したのと対照的であった。
 もっとも、トランプ大統領は、今回のG7会議に先立つEUとの会議では、ドイツが黒字をため込んでいることを一方的に批判したといわれている。
 
 一方、移民・難民問題と気候変動問題についてはトランプ氏の主張が色濃く出た。
移民・難民問題については、各国・国際レベルの調整努力と緊急・長期の双方のアプローチが必要であること、難民を可能な限り母国の近くで支援する必要があることをうたった点では米欧の立場は一致していた。
 しかし、さらに、国境を管理し政策を策定するのは主権国家としての権利であることを謳った。必要に応じて入国を制限するというトランプ氏の持論が強く出たのであり、昨年の首脳会議が、「難民の根本原因に対処することが最優先事項である」と謳ったのとはあきらかに違ったトーンとなった。

 気候変動問題については、米国以外の首脳は,昨年の伊勢志摩サミットにおいて表明されたとおり,パリ協定を迅速に実施するとのコミットメントを再確認したが、トランプ大統領は政策見直しの途中であるためコンセンサスに参加できないとことわった。異例の共同声明となったのはもちろんだ。
 他の首脳はこの米国の説明を理解すると表明したのでG7の立場は損なわれない形で収められたが、トランプ氏がパリ協定に反対していることは周知であり、今次首脳会議に米国からかかってきた暗雲は晴れなかったわけである。

 テロ対策、北朝鮮、東シナ海・南シナ海の諸問題についてはトランプ大統領を含め各国の首脳に立場の相違はなかった。
 東シナ海・南シナ海の問題については、国際法にしたがい、仲裁を含む外交的及び法的手段を通じて紛争を平和的に解決すること、あらゆる一方的な行動に反対すること、全ての当事者に対し軍事化を控えるよう要求することなどを謳った。
 これらはG7としては当然の立場であるが、中国外務省の陸慷報道局長は28日、「国際法を口実に東・南シナ海問題であら探しをしている」と批判、「強烈な不満」を表明する談話を発表した。 

 ロシアの扱いも、トランプ大統領が親ロシアであるため影響を受けるか注目された。
ウクライナ問題については、ミンスク合意の完全な実施、紛争についてのロシアの責任、平和及び安定の回復のためロシアが果たすべき役割、クリミア半島の違法な併合をG7として非難し、承認しないことの再確認,また、ウクライナの独立,領土の一体性及び主権を完全に支持すること、ロシアに対する制裁はロシアがミンスク合意を完全に履行するまで継続すること、さらに、ロシアの行動次第では、必要に応じて更なる制限的措置をとることなどキーポイントは、ロシアにとって厳しいことだが、すべて盛り込んだ内容の共同声明となった。トランプ大統領の親ロシアの立場は共同声明に反映されなかったのである。

 一方、シリア内戦の関係では、シリア政権に対し影響力を持つロシア及びイランなどは,悲劇を食い止めるためにその影響力を最大限行使しなければならないと呼び掛け、その上で、ロシアが自らの影響力を前向きに行使する用意があるのであれば,G7としては,紛争解決につきロシアと共に取り組む用意があると述べた。
 シリア問題に関してはロシアの立場に一定の配慮をしたが、表現はロシア寄りでなく、むしろオバマ時代の欧米の立場に近かった。
 今回の会議と並行して、トランプ氏の娘婿であるクシュナー補佐官がロシアとの関連でFBIの調査を受けていることが報道された。このことが今次会議に影響したか、我々には知る由もないが、トランプ氏がそのことを深刻に考慮していた可能性は排除できない。今次会議でトランプ氏がロシアとの関係で強く主張しなかったのはそのような事情があったからではないか。

 G7と中国との関係は時折議論されることがあるが、今のところG7としては中国を迎え入れようとしていないし、また、中国も関心を示していない。むしろ不愉快に思うことが多いのだろう。前述した東シナ機・南シナ海に関する中国の反発はその一例だ。
 しかし、中国はさきの「一帯一路」会議にも見られるように、世界第2の経済力を背景に、ますます中国流の方法で各国との関係を広げ、かつ、深めようとしている。そこに勢いがあるのは明らかである。G7としてはそのような中国をどのように見るべきか、また、中国との関係どのように発展させていくべきか。G7にとって北朝鮮などよりはるかに重要な問題だと思われる。

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