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2016.05.24

習近平主席をめぐる異例の事態

 5月19日、東洋経済オンラインに「習近平が危ない!中国で異例の事態が続出 絶対権力者の地位を脅かす3つの兆候とは?」を寄稿した。

 毛沢東に次ぐ絶対的権力者になりつつあると見られている習近平国家主席の地位にふさわしくない出来事が起こっている。
 来年秋に第19回中国共産党大会が開催されることとも関係があるのだろう。

 寄稿文の要点は次の通り。

○現政権の重要な柱である反腐敗運動はかなり成果を上げたかに見えていたが、まだまだ深刻な問題が残っている。習近平自身がそのことを認め、警報を鳴らしている。中国における腐敗は、「浜の真砂は尽きるとも世に盗人の 種は尽くまじ」に近い状況らしい。

○国民の多数の信頼をつなぎとめるには、大衆重視路線を進め格差の解消が必要だが、文化革命否定の基本方針は堅持しなければならないという矛盾した状況にある。

○「習近平同志に党と国家の指導的職務を辞するよう求める」と題する公開状が一時的にせよ、中国の一部メディアに流れた。習近平を支持しない勢力があることを示す象徴的な出来事だった。

 中国の力を過小評価できないのはもちろんだ。中国の統治メカニズムは基本的には有効に機能している。
 しかし、中国の政治においては常に緊張関係があるし、不安定化することもありうる。そうなれば外交への影響も不可避だ。習近平政権が危機的状態に陥っているとみなすのは速断にすぎるが、今後の中国の政治状況をフォローする上で考慮に入れておくべきことである。

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