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朝鮮半島

2017.04.17

米国は新北朝鮮政策を決定した?

 トランプ政権は、発足以来検討を進めてきた北朝鮮政策を決定したと米紙が4月14日付で伝えている。中国の新華社電も16日かなり詳しくその報道を伝えている。新華社が米国の新聞を引用するのは異例である。
 情報源は米政府の高官(複数)であり、幅広い選択肢が検討された結果だという。

決定されたことは次のとおりである。
○新政策の目的は北朝鮮の非核化であり、「政権交替」でない。
○中国に、北朝鮮に影響力を行使することを促す。
○北朝鮮と取引のある中国企業に制裁を加える準備を進める。
○軍事的措置もいくつか検討中だ。

 これだけでは要領がえられない。さらに詳しい説明が必要だが、以上を前提に考えると、新政策は評価できる点もあれば、旧態依然としているところもある。
 評価できるのは、トランプ政権がオバマ、さらにその前のブッシュ政権と比べ北朝鮮問題の解決に、より熱意をもって取り組んでいるという姿勢が感じられることだ。
 しかし、米国の対外政策において北朝鮮問題が中近東問題と比べ優先度が高くなったかと言えば、答はノーだろう。その点ではこれまでの政権と変わらない。
 新政策の目標は朝鮮半島の非核化であり、現体制を倒すことでないというのも、以前からそうであり、何も新しいことでない。
 中国に頼る姿勢はまさに旧態依然と言わざるを得ない。
 中国企業に制裁を加えることは効き目があるだろうし、それが本当に実行されるならば新しい政策として意味がある。ただし、米国は中国が嫌がることをすることになるので、現実に実行されるか、必ずしも明確でない。
 軍事的措置については、「検討中」というだけでは何とも言えない。ほのめかすことで一定の効果があるかもしれないが、逆に軍事衝突につながる危険もある。

 このように見ていくと、ティラーソン国務長官がこれまで20年間の北朝鮮政策を失敗だったという割には、新政策は中身が乏しいと思う。


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