平和外交研究所

5月, 2014 - 平和外交研究所 - Page 5

2014.05.10

登記制度改革はまだまだである

中国経済の主要問題の一つである不動産の登記制度改革について華夏時報の記事を5月10日の大公報が転載している。要約すれば次のとおりである。

不動産を統一的に登記する制度の確立は土地問題の核心であるが、難問である。
関係する部(日本の各省にあたる)・委員会は10を超える。
国土部は8日、不動産登記局が正式に成立し、全国の土地、家屋、林業地、草原、海域などの登記を管轄すると発表した。また、この発表に先立って、2016年から統一登記制度を全国で実施することになっており、今年から3年くらいで統一登記制度を完成し、4年くらいの間に統一不動産登記情報を管理する基礎的システムを作動させることになっていた。
しかし、関係部門を取材したところ、まだそのようには進展しておらず、まだかなりの時間が必要である。
中国で不動産の統一登記の必要性が認識され始めたのはかなり以前のことである。しかし、それ以後の進展は緩慢であった。不動産登記の分野では中心になる部門が複数あり、また各部門の権益が重複しているからである。
2014年1月、中央は不動産登記の職責を整理することに関する通知を発出した。まず職責の整理を行ない、その上で国土部の関係機構整備と人員強化を実行し、国土部の地籍管理司に不動産登記局の看板を掛けることになった。しかし、8日に国土部のサイトをチェックしたところ、依然として「地籍司」が存続し、「不動産局」は見当たらなかった。また、不動産局の職責について国土部の説明を求めると、「今年の重点任務は不動産登記制度のトップの設計を行なうことである」ということであった。
不動産の統一登記制度を作る目的は家屋・土地税を徴収する前提条件を準備することである。
2013年11月に国務院常務会議は不動産登記局の設立を加速するよう指示し、上記の2014年1月の中央の通知により不動産統一登記工作の最高司令官となった国土部は統一登記のトップ設計を行なう責務が課せられた。しかし、国土部から中央に対して機構編成の拡大の申請が提出されているが、今日に至るも回答が出ていない。中央の一般的方針は政府機構の増大を極力避け、配置人員は増加させず減少させるべきというものであり、大登記局を設置することは困難なのである。国土部に限らず、地方でも人員をいかに確保するか、大問題である。
統一登記制度を確立するには関係各部門の職責の調整、利益配分の公平化が必要となり、これには時間がかかる。
「物権法」は、国家が不動産の統一登記制度を実施すると定めている。しかし、登記の範囲、機構、処理手続きなどは別の法令で決められている。
2013年、国務院は国務院機構改革および職能調整方案任務分担通知によれば、4月末までに家屋登記、林業地登記、草原登記、土地登記などの職責を調整することになっているが、現在に至るもできていない。

2014.05.09

女性ジャーナリストの逮捕

中国の女性ジャーナリスト高瑜が4月24日に拘束された(新華社は5月8日に発表)。高瑜は機密文書をあるサイトを通じて海外へ流した嫌疑をかけられ、また、そのことを自白したそうである。

多維新聞(5月8日付)や明報(9日付)などによると、意識形態(思想)面での防衛戦は必要であるが、当局の発表には不明確な点が多々ある。表面的には当局の行動は合理的に見えるが、その裏では政治的な問題が隠れている。
薛蛮子のペンネームで知られる実業家、薛必群が買春の疑いで逮捕されたのが例であり、同人は社会問題に関心を持ち、微博で児童誘拐防止を呼び掛け、投資家、芸能人にも賛同するよう働きかけたことが当局の不興を買った。薛蛮子や高瑜のように社会的影響力の大きい人物は「大V」と呼ばれ、当局はそれを標的にして言論の統制強化を図っている。
高瑜が流したのは中共中央の「第9号文件」であり、言論の自由を厳しく取り締まった「七不講(7つの話題にしてはならないこと)」、すなわち普遍的価値、新聞の自由、公民社会、公民の権利、中国共産党の歴史の過ち、権貴資産階級、司法の独立を口にすることを禁止した文献である。この文献はニューヨークタイムズや香港の『明鏡月刊』、明報などですでに報道されており、高瑜が逮捕されるよりはるかに前からかんかんがくがく議論されていた。

2014.05.08

北京市インターネット安全情報化小組の設置

2月27日に中央インターネット安全情報化指導小組が成立して以来、江西、陝西に続いて北京市も同様の小組を設置した(大公報 5月8日)。
おそらくその他の省自治区でも今後このような組織を設置していくのであろう。これはインターネットをコントロールするための組織であり、習近平政権言論統制強化の一環である。

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