平和外交研究所

2013年9月

2013.09.25

シリアの化学兵器に関する安保理協議など

先般の国連の調査報告は、ダマスカス近郊で化学兵器が使用されたことを認め、どのような状況であったか、その種類などの分析は行なっているが、肝心の、誰が使用したのか、シリア政府か、反体制派かについては断定に至っていない。一部の西側政治家やメディアには、シリア政府が使用したことはほぼ間違いがないとするものもある。
国連は再度調査団を派遣すると言っている。本日(25日)中にも始めるそうであり、さらに事態が明らかになることを期待したい。
化学兵器の廃棄は合意に達するまではもちろん、その後も複雑なプロセスであり、時間もかかる。安保理での決議は早期に成立させなければならないが、米英仏とロ中の意見の溝はまだ大きいようだ。前者は、予定通り進捗しない場合強い行動も必要であることを決議に反映すべきだとし、ロシアは、もしそうなった場合はその時に検討するのがよいと主張している。シリア政府は化学兵器廃棄に同意しているが、米国などが武力行使をしないことが条件だとしているので、米英仏のような内容の決議案ではその点がクリアできないという考えなのであろう。シリア政府は引き延ばしの口実に使うかもしれない。
これらは、各国政府のみならず、我々一般国民も予測できたことであり、それが再び起こってしまったのは残念至極であるが、最近はイスラム原理主義者の活動が活発化しているそうであり、事態はさらに複雑化する危険もある。

2013.09.24

北朝鮮の経済建設重視?

金正恩第一書記は今後経済建設を最優先すると、北京で開かれた6カ国協議10周年記念シンポジウムで北朝鮮の李容浩外務次官が語ったそうである(18日 大公網9月22日)。
たしかに最近は金正恩第一書記の経済関係視察が顕著に増えている。就任して間もないころは、夫人とともに幼稚園など各種施設を訪問することが多かったが、ある時から軍関係の視察が圧倒的に多くなり(夫人同伴はほとんどなくなった)、その傾向は2013年の春まで続いた。そして最近は、軍関係の訪問が目立って少なくなった。
軍関係施設への訪問があっても軍人の生活が話題になるなど、ひところの軍事施設で気炎を上げるのとはかなり様相が異なっている。また、国家目標の優先順位を核兵器と経済の二本立てにしていたのを、今後は経済一本に絞ることにしたということであれば、これまでの方針とはかなり違ってくる。
このような方針の修正が真実あったのであれば、どのような理由によるのか。軍の高級人事を頻繁に行うなど金正恩の気まぐれが影響しているか。それとも、金正恩第一書記はもともと経済建設を進めようと考えていたが、その前に軍を大事にしていることを示し手なずけておこうという深慮遠謀があったのか。真相がより明確になるのはそう遠い将来のことではないかもしれない。

2013.09.23

薄熙来裁判

薄熙来元重慶市党委書記に対し、済南市中級人民法院は9月22日、無期懲役の判決を下した。
薄元書記は収賄、横領および職権乱用の3つの罪に問われているが、判決自体はともかく、その判断の根拠となった事実関係についてはどうしても不明確さがぬぐえない。また、政治(党の指導)との関係も問題である。
第1に、中国の裁判は共産党の指導下にある。胡錦涛前党総書記も習近平現総書記も形式的には党のトップとして、また実質的には薄熙来の政治局員として地位と影響力にかんがみ、薄熙来の解任と裁判に承認を与えたことは明らかであるが、薄熙来の追求にどの程度積極的な役割を果たしたのか不明である。
第2に、薄熙来は、革命を重視し、特権を持たない人民のための施策に積極的であった(それだけでないのが問題であるが)ために一般の国民の間にかなりの支持者がある。習近平主席は経済建設と革命をそれぞれどの程度重視していくべきか、困難なかじ取りを迫られているが、薄熙来の裁判が二つの路線の微妙なバランスに影響を与える可能性はないか。
第3に、胡錦涛時代の政治局常務委員で政法(司法など)の担当であった周永康が現在腐敗撲滅運動の関係で追及されようとしている(と見られている)。腐敗はいつでもどこでもあり、司法の担当として責任を問われる危険はつねに存在するという意味ではむしろ日常的なことであるが、何らかの事情で、たとえば権力闘争の結果政治局内で支持を失えば、状況は一変する。責任を追及する材料など容易にみつけられる。薄熙来が周永康に頼っていたことも問題になりうる。もっとも、習近平も薄熙来の重慶における業績を積極的に評価していたが、支持者が多いので追及されない。
第4に、重慶市時代の側近であった王立軍元重慶市副市長(以前には公安の担当であった)が米国総領事館へ駆け込み、身の安全を訴えたことは否定も、ごまかしもできない事実として残っている。裁判で王立軍は証言したらしいが、何と言ったのか。王立軍の証言内容がほんとうに明らかになるのは、数年、あるいは十数年の時間が必要かもしれない。

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