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2014.03.03

朴槿恵大統領の3・1演説

朴槿恵大統領が3月1日の「3・1独立運動」記念式典で行なった演説について、ネットなどでは反発する意見が多いようだが、どこまでよく内容を分析した結果であるか疑問である。
慰安婦問題など歴史問題を日本の指導者が直視することを求めている点ではこれまでと変わらない。それは朴槿恵大統領の信念であり、変わるとも思えないが、演説は対日関係についてどのようなことを述べるか、かなり工夫した跡がうかがえる。
まず、全体的に丁寧な表現となっている。そのため、日本への言及は昨年に比べ大幅に増えた。また昨年は、慰安婦の受けた傷は千年たっても変わらないと激しい言葉を使ったが、今年はそのような感情的表現は控えた。
慰安婦は55人しか生存していない、と言ったのも見逃すべきでない。朴槿恵大統領としては、この少ない人数をあえて示して、大国、日本として解決はさほど困難でないはずと言いたかったのかもしれない。
日本が戦後憲法を土台に平和を重視し、近隣国との善隣友好関係を築いてきたこと、村山談話と河野談話の重要性をその文脈で評価していることもよい認識である。

朴槿恵大統領がこのような発言を行なった背景には、あまりにかたくなな態度を取るべきでないという考えが国内にあること、中国との関係も手放しで楽観視できないということがじわじわと分かってきたこと、米国なども日韓関係の改善を強く求めていることなどの事情があるのであろう。また、国内の高い支持率は、昨年の夏には7割近く、今は少し低下したが5割以上であるので、日本に軟弱な姿勢を取ることもできないという事情もあろう。

私としては総理に、朴槿恵大統領と歴史問題を大いに議論してもらいたい。日本として主張すべきこと、反論すべきことがある。
○慰安婦問題は日本政府が大変な努力をして謝罪も償いも行なってきたことを韓国側はなぜ評価しないのか。
○法的、あるいは正式に補償すべきだと言うなら、国際法にしたがった議論をすべきであり、1965年の日韓基本条約を無視することはできない。
○慰安婦は55人と言うが、強制徴用工に波及する可能性がある。それ以外にも戦争、あるいは植民地支配の犠牲になった個人は多数に上る。それらの問題をどのように解決するか、両国で知恵を絞った結果が日韓基本条約ではないか。



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