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2013.10.13

東アジアサミット2013

ASEANは10月9日からその首脳会議を開催したのにはじまり、以後順に中国、日本、韓国、インド、米国それぞれとの首脳会議、日中韓3国との首脳会議、そして最後に(10日)この3国の他米国、豪州、ニュージーランド、ロシアおよびインドを含めた東アジアサミットを行なった。
これら諸国に共通の関心事の一つは、南シナ海における平和と安定の維持、また紛争を避けるための行動規範である。中国は同国とASEAN以外の国を域外国とみなし、両者の間での行動規範に関する話し合いに関与すべきでないと主張し、排除しようとしているが、域外の諸国にとっても南シナ海での船舶航行の安全確保は重要な問題であり、行動規範の成り行きに強い関心を抱いている。
米国は例年のASEANとの首脳会議の際にこの問題に関する米国としての関心を表明しており、そのため中国とは対立する結果になっている。クリントン米前国務長官は何回か率直な発言をしており、昨年の会合では、中国の参加者が”Well, we could claim Hawaii.”と発言したので、 “Well, go ahead, and we’ll go to arbitration and prove we own it. That’s what we want you to do.”と応じたそうである(2012年11月29日、ワシントン市内The Newseumにおける演説後の質疑応答。米国務省HP掲載の記録。なお、クリントン長官は明言こそしなかったが、このやり取りがあったのは東アジアサミットあるいは、その前後の会議であったことを示す説明をしていた)。
中国のこの粗野な発言には驚かされるが、今年は、米国で予算が成立せず危機的な状況に陥ったためオバマ大統領は出席できず、米中の首脳が意見を異にしてあからさまに対立する場面はなかった。
一方、ASEANと日中韓との首脳会議は3国の首脳が一堂に会する初めての機会となったが、かねてからの関係悪化のため、3国首脳は対話もしないという異常な事態となった。もっとも、そのこと自体は、やはりそうなのかと思うことであった。
中韓両国の国内事情にも注目しておく必要がある。中国は来月、習近平政権にとっての一大行事である中国共産党第18期中央委員会の第3全体会議を控え、国内は緊張している。
また、韓国は経済状況が悪化していることも原因であるが、朴槿恵大統領の立場は決して楽なものでない。歴史問題に関する主張を抑えるべきだと朴槿恵大統領に期待するのではないが、日韓両国は協力し合う必要があるのは明らかであり、歴史問題についての日本の指導者の姿勢が改善するまで会わないというのは賢明でないと思う。


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