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中国

2014.06.25

中国のジブチ進出

紅海からインド洋に出る要衝の地にある小国ジブチに米中両国が積極的に働きかけていることを紹介する記事が6月24日付『朝日新聞』に出ている。人口90万人、GDPは15億ドルくらいであるが、中国は港湾施設運営会社への投資、新港や港湾鉄道の建設などでジブチのGDPをはるかに超える額の金をつぎ込んでいる。それと同時に中国軍も積極的な姿勢を示しており、将来基地を置くことになるとも噂されているそうだ。
米国はすでに基地を置いており、定員3千人だが4500人が駐留している。ジブチ政府は1977年の独立以来親米的で、1990年の湾岸戦争、2001年の米国での同時多発テロ攻撃後の対策にも協力し、2002年には米軍基地を受け入れた。かつてのフランス外国人部隊の基地Camp Lemonnierである。
ジブチの隣国ソマリアはエチオピアとならぶ大国であり、米国はかつてソマリアで苦い経験をしたことがあった。最近は、2012年に成立したソマリア連邦共和国との関係改善が進み、外交関係も回復したが、米ソマリア関係においてこのような変遷があった間、ジブチの米軍基地は米国にとってきわめて重要な役割を果たした。米国のアフリカに対する経済、人道援助はかなりの部分ジブチ経由で行なわれている。なかでもテロ対策にとってこの基地の存在は重要である。
そこへ中国が乗り込んできたが、米国はジブチとの友好関係を固め、2014年には基地の使用延長(30年)について合意を取り付けた。しかし、賃料は年間71千万ドル、ジブチのGDPの約20分の1だそうだ。

中国のジブチへの進出の意味・インパクトを考えてみたい。
○ここでも超巨大国家とミニ国家という基本的図式がある。中国が太平洋の島嶼国家に進出するのと同様のアンバランスがある。中国がジブチのインフラなどの建設のため投入している資金はジブチのGDPを超える規模である。そのインパクトの大きさははかりしれない。
○ジブチの人口は九十万人であり中国が一定の戦略目標を立てて進出してきた場合、現地労働者では需要増を賄いきれない。だから中国人労働者が増加する。
○何人の中国人労働者がシブチに入国しているかよく分からない。中国が興味を持つアフリカの国では万の台の中国人が働いている。日本が百の台であるのに比べ、百倍~数百倍であり、比較にならない。リビアの政変で外国人が避難した時も日本人と中国人の数はそのくらい違っていた。
○米国のジブチにおけるプレゼンスに中国人の数が影響するとは思われない。中国人は専用の宿舎からあまり外出しないだろう。しかし、政府間では中国人労働者の関係でさまざまな措置が必要になる。この影響が米国にもおよんでくるかもしれない。
○中国が軍事的にもジブチに興味を持つのはその近海で行なわれている海賊対策の関係が主であろう。この面では米中、また、日本も共通の利害関係にある。日本は、哨戒機(P3-C)などの活動拠点をジブチの空港に置き、また、海賊対策のための諸活動を調整するための現地事務所を設置している。


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