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2016.09.22

シリア―最近の日誌

(シリア情勢はあまりめまぐるしく変化するので2015年末からの大きな動きを日誌風にメモってみました。日付は逆に記載しています。網羅的ではありません。)

9月20日、ローズ米大統領副補佐官(戦略広報担当)は「米国は停戦継続を優先させたいが、ロシアに対し合意の履行に真剣なのかどうかを直接問いただす」との立場を表明。シリア北部で19日に起きた人道支援車両への空爆に関し、シリア軍に停戦を順守させるロシアの義務を踏まえれば「ロシアに責任がある」と指摘。

9月19日、アサド政権は「戦闘停止を終了する」と宣言。シリアの将来をめぐってアサド政権の存続を主張するロシア主導のシナリオが濃くなっていることに反体制派の不満も強まっている。

9月17日、東部デリゾールで米軍がシリア政権軍を誤爆。18日にはアレッポで政権軍による空爆も行われ、再び合意が形ばかりになると懸念された。

9月12日、アサド政権側と反体制派の停戦が発効。

9月10日、米ロはアサド政権と反体制派が停戦することで合意。シリア政府は米国とロシアが仲介した同国の停戦合意を承認した。しかし、反体制派の主要組織はこの停戦計画に慎重な姿勢を見せた。
 米ロが初めて合同でイスラム過激派組織に対する本格的な軍事作戦を実施する可能性も出てきたと言われた。
 
5月4日 米国とロシアは激戦地の北部アレッポでの戦闘を停止させることで合意したと米国務省が発表。
 停戦合意の対象には過激派組織ISのほか、ヌスラ戦線(アルカイダ系)は含まれていない。

4月27日、国連のシリア問題担当のスタファン・デミストゥラ特使は、2月に合意されたシリアでの停戦は「虫の息」だとし、米国とロシアが「首脳レベル」で和平交渉を助けるべきだと訴えた。

2月22日、米国とロシアはシリア時間27日午前0時からの停戦を求めることで合意した。ロシアはアサド政権に、米国は反政権勢力に停戦を守るよう呼びかける。
この枠組み合意にアサド政権と主要な反政府勢力も条件付きで同意したが、ISとアルカイダ系のテロ組織は合意に加わらなかった。 
 戦闘は完全には収束せず、米ロ双方が停戦違反を非難した。
結局、停戦合意は約1か月で破たんした。

2015年12月18日、シリアの和平に関して安保理は決議第2254号を採択した。来年早々に国連がシリア政府と反体制派を集めて和平のための会議を開催し、6カ月以内に暫定政府を樹立し、新憲法の起草を始め、18ヶ月以内に選挙を実施するというロードマップを決定した。

2016.09.19

(短評)ミャンマー新政権の滑り出しは順調か

  アウン・サン・スー・チー国家顧問が訪米し、9月14日、オバマ大統領と会談した。オバマ大統領はミャンマーに対する制裁を解除することとしたと伝え、スー・チー国家顧問が率いる民主的政権を支持する姿勢を鮮明にした。同氏の訪米は実り多いものとなったと見てよいだろう。
 米国には、他国と比べミャンマーへの企業進出が遅れているという認識があるようだが、今後は米国資本が自由に進出できるようになる。ミャンマーの経済発展に貢献するだろう。
 スー・チー最高顧問は訪米の途中英国にも立ち寄り、メイ首相から1億ドル以上の援助約束を得たと報道されている。

 スー・チー国家顧問は訪米の前に(8月)中国を訪問した。最初の外国訪問が中国となったので一部の報道で注目されたが、米国はとくに意に介さなかったようだ。大人の態度であった。
 ミャンマーにとって中国との関係は重要だ。とくに一部の少数民族との関係が深いからだ。ミャンマー政府は関係がよくない部族を抑えるのに中国の力を必要としている。

 8月31日にミャンマーで「21世紀のパンロン会議」が開催された。スー・チー氏が重視する諸民族の大同団結会議だ。ミャンマーでは諸民族の和解が進まないと軍の特権を維持せざるをえない状況にあり、そうすると民主化も進まなくなる(当研究所HP8月22日付「ミャンマー・中国関係‐アウン・サン・スー・チー国家顧問の訪中」)。
 期待が高まる中で開催されたパンロン会議であったが、ワ州連合軍(UWSA)の代表が中途退場するなど、一部の部族はパンロン会議に協力することをためらっており、きびしい門出となった。もちろんこれで諸民族の和解が失敗したと見るべきでない。70年間解決しなかった問題でありそう簡単にはいかないとしても不思議でない。パンロン会議は今後も半年に1回の頻度で開催されることになっており、その推移を見守る必要がある。
 スー・チー最高顧問が率いる新政権は民主化の推進に熱心であるが、少数民族問題が解決しない限り民主化推進派、軍、少数民族の三つどもえ的な関係は変わらない。米国の制裁撤廃については、民主派の軍に対するテコをなくすることになるとして反対する声もあるが、ミャンマーのこのような現状を見ればそうも言えないのではないか。
 また、少数民族の中には、バングラデシュと国境を接するラカイン州のロヒンギャの問題もある。2015年春に数千人のロヒンギャ難民がどの国からも拒否され海上をさまよった事件で有名になった。オバマ大統領はスー・チー氏に対し少数民族問題の解決を望んでいると表明するとともに、この問題をミャンマー政府が善処することを促した。
 一方、ミャンマー政府はロヒンギャをミャンマー国内の少数民族と認めておらず、バングラデシュからの難民と位置付けており、国籍も付与せず、「(不法移民の)ベンガル人」という呼称を用い続けているので、スー・チー最高顧問は「ラカイン州の問題の解決を政府として重視している」と応じるにとどまった。この問題解決の道のりはまだ遠そうだ。

2016.09.12

北朝鮮の核実験

 北朝鮮がまた核実験を行った。今年になって2回目だ。ミサイルは今年だけですでに20発ばかり発射している。いずれも国連決議に違反する重大な行為だが、今後さらに第6回目の核実験を行う可能性もあると言われている。
 北朝鮮のこのような行動は日本など周辺の国にとって危険きわまりない。日本の排他的経済水域へ落下したミサイルもあるらしい。かつて、日本の上空を飛び越して太平洋に向かっていったミサイルもあった。
 今回の核実験に対し、各国は国連決議で追加制裁を科し、また日米などは独自の制裁措置を実施することを検討中だ。
 また、制裁の実効性のカギを握っている中国に決議の忠実な履行を求めていく姿勢だ。いずれも当然のことだ。

 しかし、これらの措置だけでは北朝鮮問題の核心に迫ることができないだろう。
 北朝鮮には国家の安全を確保しなければならないという究極の問題がある。そんな国は他にはまずない。各国から見れば北朝鮮が各国に脅威を与えているのであり、まるで正反対の状況に見えるだろうが、北朝鮮が安全を確保できていないのは事実だ。
 しかるに、この問題を解決できるのは米国だけである。中国はすでに北朝鮮という国を承認している。
 米国はグローバルパワーとして世界各地で大変な犠牲と負担を強いられており、そのことを各国は十分理解し協力する必要があるのは当然だが、米国と北朝鮮の問題は他のどの国にも解決できない。米国は中国がまじめに決議を実行すれば北朝鮮の核・ミサイル問題を解決できるはずだとの立場であるが、中国が米国に代わって北朝鮮を認めることはできない。当たり前のことだ。中国はそのことも言っているが、北朝鮮問題に関しては、中国は決議を履行していないという各国の声が大きいためか、あまり注意されない。
 北朝鮮の核・ミサイルはいかなる場合も、いかなる理由でも認められないが、核兵器を放棄させるには北朝鮮の安全問題の解決が不可欠だ。核とミサイルの実験を止めさせることと核兵器を放棄させることは大きな違いがある。前者については、国連決議は内容いかんで効き目を持ちうるが、後者の核の放棄は国連決議だけでは実現しない。
 去る3月に成立し、「史上最強」と言われた決議はその後の北朝鮮の執拗な挑戦的姿勢によって影が薄くなってしまった感もあるが、前述したように中国が忠実に実行しないからであり、今後新たな決議が成立すれば北朝鮮としても考慮せざるをえなくなる可能性はある。
 しかし、どのような内容の決議が成立しても、あるいは米国が最強の措置を取ってもそれだけで核兵器を放棄させることはできないだろう。
 米国は嫌がるだろうが、真の解決には米国が北朝鮮と平和条約交渉をし、核兵器を放棄させるしかないことを日本は説得するべきだと思う。

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