平和外交研究所

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2015.09.02

(案内)北方領土問題は「千島20島」の帰属問題である

「北方領土問題は「千島20島」の帰属問題であるー択捉・国後・歯舞・色丹だけの問題ではない」が8月23日、東洋経済ONLINEに掲載されました。
2015.08.28

(短文)朝鮮通信使関連遺産を韓国とともに世界遺産登録!

 8月26日から瀬戸内海を旅している。鞆(広島県)で、江戸時代に行われた朝鮮通信使の遺産を世界遺産に登録する希望があることを知った。
 これは素晴らしいアイデアだ。韓国側にも関連の遺産があるので、日韓共同で登録を申請するのがよい。
 通信使の行列をえがいた絵は日本各地に残っている。通信使(正使)はじめ随員が日本人との交流で残した詩文は鞆など通信使が立ち寄った地に残っている。彼らの中には文化水準が非常に高かった人が含まれており、当時の日本の文化人は通信使一向との交流に熱心であった。
通信使一行が残した手記や旅行記が韓国に現存しているそうだ。彼らの目で見た日本人の生活は興味深い。
 朝鮮通信使を幕府がどのように扱ったについては、とくに政治的な面で議論があるらしいが、それはともかく、朝鮮通信使一行を一般の日本人は興味深く見守り、また、一行の文化水準に敬意を払っていた。いいことだけでなく、ケンカしたことなどもあったらしいが、それを含めて朝鮮通信使の受け入れ、接遇から日韓の文化交流の実態が浮かんでくる。世界中の人も興味を持つだろう。
2015.08.22

(短評)安倍首相の訪中?


 安倍首相が近く訪中する可能性があると言われている。はっきりした説明は日本側からも中国側からもないので我々としては非常に分かりにくいが、この件については日中双方が非公式に相手の出方を探っているのではないかと思われる節がある。
 8月19日付の多維新聞(米国に本拠がある中国語新聞。本HPで何回も引用したことがある)は次のように記録している。

「7月10日、中国外交部の程国平次官は、習近平主席が安倍首相に「中国人民抗日戦争勝利70周年記念活動」に参加するよう招待したことを確認した。

7月11日、『朝日新聞』は、安倍首相は9月に訪中することを考慮している、期日は習近平主席が招待した9月3日でなく、9月だが他の日だと報道した。

8月5日、王毅外相は、安倍首相が9月に訪中するという話など聞いたことがないと言った。

8月18日、『毎日新聞』は単独で、安倍首相は9月3日午後、北京に到着する、そうすることにより午前中に行なわれる抗日戦争勝利観兵式を避ける、と報道した。

同日、日本の外務省報道官は、毎日新聞が報道したような事実はまったくない、と言明した。

8月19日、中国外交部のスポークスマン事務所(発言人弁公室)は、毎日新聞の報道に対して「安倍首相が9月に訪中するということは聞いていない」と述べた。」

多維新聞の記録は以上だが、これに次を加えておく。

8月20日、菅官房長官は、「安倍首相のことは、まだ何も決まっていない」と述べた。

 実際何が起こっているか。一つのシナリオは、習近平主席が抗日戦争勝利記念行事に出席するよう招待したのに対して、安倍首相は記念式典を外して訪中したいという意向を内々に伝え、それに対し中国側は、「安倍首相が記念式典に出席するか否かだけを聞きたい。他の日に、あるいは時間をずらせて訪中する話など聞きたくない」と応じているということである。

 しかし、日本側から中国側に対し9月訪中の可能性を探るのはやめたほうがよいと思う。9月3日の抗日戦争勝利記念を少し外して訪中することも含めてである。
 中国は、「第二次大戦で中国は世界的パワーであった。対日戦争勝利についてはもちろん、対独戦争勝利についても大きな役割を果たしたという評価を確立する」戦略をたて、記念行事を大々的に行おうとしている。観兵式もその一環だ。第二次大戦で共産党軍が世界的パワーであったか、一般にはなかなか受け入れられないだろうが、中国は最近そのような戦略を打ち立てたのだ(本HPでは5月11日に「対独勝利70周年記念式典と日本、ロシア、中国」、同月19日に「中国は対独戦勝利記念に参加する立場にない?」を掲げて論じている)。
 戦勝記念という意味ではロシアが5月に行なっている対独戦勝利記念と共通するが、中国の抗日戦争勝利記念にはそのような戦略があり、またその背景には大国化の願望があるので、むしろ和解とは逆の方向に強い力が働いていると思う。
 一般論として、日本が和解を重視していることを中国側に示すのはよいことだが、そのためには日本側でも実行しなければならないことがある。とくに、靖国神社参拝は、安倍首相としては強い思い入れがあるのだろうが、和解に役立たないことは客観的に認識すべきである。
 欧米主要国の指導者も9月3日の行事に出席しない。彼らは、日本との関係に配慮し、また、中国の戦略を警戒しているのではないか。
 なお、日中首脳会談を重視するのは評価できるが、それを実現する機会は国連総会など他にある。
 

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