平和外交研究所

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2013.04.16

北朝鮮に対する中国の見方

最近、中国が北朝鮮に厳しい態度をとるようになっていることに注目する報道が増えており、昨日(4月15日)も某テレビ局で、中国共産党の関係者が「北朝鮮は恩知らずだ」とあからさまに批判するのが報道された。先月国連安保理で対北朝鮮決議を採択するに際して、中国の国連大使が、かつてなかったほどいらついていたと米国の大使が発言したのも記憶に新しい。
たしかに中国は北朝鮮の核やミサイルの実験に反対し、不満を表明しているが、中国のメディアを見ると、北朝鮮批判だけで紙面が埋まっているのではなく、北朝鮮に対し一定の理解を示す報道もある。「晨報」という新聞の報道では、上海復旦大学の石源華教授は、朝鮮半島の緊張状態は続いているとしつつも、「北朝鮮だけが挑戦的なのではない」「戦争が起こる可能性は大きくない」「北朝鮮はいろいろ過激なことを言うが、実際の行動は多くない」などと述べ、また、米国の動きとの兼ね合いも指摘している。一方、北朝鮮が対外的に強硬な姿勢を取っているのは国内の不安定が原因だという見方について、この教授は、両者の関連は強くないと述べているそうである。これについては異論が多いかもしれないが、いずれにしても、北朝鮮情勢はこれからも多角的に観察し続ける必要があろう。

2013.04.14

ケリー国務長官のアジア歴訪

ケリー国務長官が韓国、中国、日本を順次訪問するなかで、北朝鮮問題にもっとも影響力のある中国がさらに北朝鮮への働きかけを強くすべきであるという、米国のかねてからの方針がいっそう強調された感はあるが、新味はない。北朝鮮に最も影響力があるのは、とくに安全保障に関する限り、中国でなく、米国である。これが最も基本的なことであるが、米国はそこに焦点を当てようとしない。それは、米国に世界戦略があり(中東が大変)、また、核戦略に影響を及ぼしたくないからである。それは米国としてまことにもっともなことであるが、北朝鮮に関する限り、核心に迫ることはできないのも明らかである。米国の高官はケリー長官に限らず、中国に不満を強めているという。それはごく当たり前のように聞こえるかもしれないが、実はお門違いだ。

2013.04.09

ミサイル破壊措置命令

小野寺防衛相は4月7日、北朝鮮によるミサイル発射に備えて破壊措置命令を出したが、政府は命令を公表しなかった。それは正しい措置であったと思うが、そもそもミサイルが飛んできて危険な状態になれば破壊するのは当たり前のことである。それはいつ起こるか分からないので、「破壊命令」であれ、「破壊措置命令」であれ、そのようなことを口に出すのはもちろん、におわせるのもおかしい。必要ならば実行すればよい。
国連の制裁決議も問題がある。ミサイル技術を使ったロケットは人工衛星であってもすべてミサイルとみなすというのは露骨なパワーポリティックスだ。いずれそのミサイルで打ち上げられ、衛星軌道を周回する物体から音楽が聞こえてくるだろう。

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