平和外交研究所

中国

2014.07.15

中国雑記ー7月15日まで

○2013年度の土地使用料譲渡金(土地払下げ金)は3.9兆元、対前年比1.2兆元の増加で過去最高を記録しと。最近発表された地方政府基金収入決算書が伝えた(『大公報』7月14日)。
中国では地方政府の収入は土地使用料譲渡金に依存しており、土地を開発業者などに譲渡しないと地方政府の財政収入は大幅に減少する。これが増加したことは地方の土地開発への依存度がそれだけ高くなったことを意味している。昨年秋の3中全会では土地制度の改革が叫ばれたが、進展はやはりないようだ。

2014.07.09

習近平の内外の強硬姿勢

何気ない発言に真実を垣間見ることがある。北京外国語大学の喬木助教授は7月8日まで休暇を取って来日し、杉並区長選挙、調布市長選挙などを視察した。大学ではメディア論を教えつつ、米国、エジプト、台湾などで選挙の視察をし、今回初めて日本に来たそうだ。自らも全国人民代表大会の選挙に出て、共産党推薦の候補に僅差で敗れた経験もあり、いわゆる新公民運動の活動家である。この人が、「中国でも普通選挙が15年後に実現すると信じている。10年後と言っていたが、習近平政権となってから5年延ばした」と言っている(『朝日新聞』7月9日付)。習近平政権は中国の民主化を5年間遅らせたというわけであり、その特徴をよく表していると思う。
習近平は前任の誰よりも腐敗撲滅に力を入れている。6月30日には長らくうわさに上っていた徐才厚元中央軍事委員会副主任について汚職の罪で処罰し、党籍をはく奪する決定を政治局会議で決定した。中央軍事委員会副主任は軍のナンバー2(一人ではないが)であり、習近平政権の下で汚職の罪で摘発された者のなかで最高の権力者であったとみてよい。周永康元政治局常務委員の処分が決定されるとさらにハイレベルの摘発となるが、これはまだ最終段階になっていないらしい。
習近平は軍内においても汚職追及の手を緩めていない。また、習近平は「軍事改革小組」の主任に就任するなど、何でも自分が長となって実行するという姿勢を軍に対しても見せている。習近平は中央軍事委員会の主任であるから形式的にはすでにナンバーワンになっているのだが、実際の権力をも掌握しようとしているのである。
一方、習近平は、民主化運動はさらに容赦なく弾圧しており、活動家、言論人を投獄している。今年の5月に私の編著で『習近平政権の言論統制』を出版したが、その後も言論弾圧が続いているので、続編が必要かと思っている。
習近平主席は最近韓国を訪問し、朴槿恵大統領とともに歴史問題などで日本に対し厳しい態度を見せた。帰国後まもなく7・7記念日、すなわち日中戦争勃発の記念日に北京郊外の「抗日戦争記念館」で、「日本の侵略者の野蛮な侵略に対し、全国の人々が命を省みず、偉大な闘争に身を投じた。今も少数の者が歴史の事実を無視しようとしているが、歴史をねじ曲げようとする者を中国と各国の人民は決して認めない」などと強調し、中国の抗日戦争を「世界反ファシズム戦争の東の主戦場」と位置づけた。
習近平は最近自らの著作を出版しており、そのなかで、「私は中国の近代史をいつも読んでいる。立ち遅れ、打ちのめされる悲惨な情景を思うと胸が張り裂ける」と述べている。これは日清戦争で敗北した時のことを言っているのだが、中国が近代化を達成し、世界第2の経済大国となり、政治的にも世界中から注目されるようになっている現在でもそのようなことを口にする状況にあるのである。これは習近平に限ったことでなく、多くの中国人に共通の感情である。だからこそ、7・7記念日に生物兵器の人体実験を行なった731(石井)部隊の記事が複数写真入りで出たり、また一方では、「日本はまだ多くの分野で世界一だ」という記事も出るのであろう。
ともかく、習近平が対日政策面で強硬な態度を取っているのは歴史の影響があるからであるが、それだけではなく、内政で民主化を許さないと強硬姿勢を取っていることとも関連があると思われる。習近平は、現体制を維持できるかについて実は心の奥底で自信を持てないのではないか。喬木氏も「言論封じは党の自信のなさの表れ」と喝破している。

2014.07.04

日中間の緊急連絡体制

THEPAGE(7月1日)に掲載された一文。

「最近、中国機が日本の自衛隊機に異常接近する事例が相次いで起こっています。また中国海軍艦艇による海上自衛隊の護衛艦に対する大胆な行動も起こっています。このようなことは日中間の問題にとどまらず、東アジアの平和と安全にとっても懸念すべき問題です。
日中両国は不測の事態が起きないよう努めなければなりません。また、発生してしまった場合には事件の拡大を防止し、迅速に鎮静化させることが必要です。このために両国間に緊急連絡体制、つまりホットラインを設置することが検討されています。
日中間では、事件もさることながら民間航空機事故、自然災害、環境などの面で協力しなければならないことが増えており、そのためにも緊急連絡体制の早期構築が望まれます。
日中両政府間では2007年、安倍首相と来日した温家宝中国首相との間で、中国国防部長の訪日や艦艇の相互訪問の早期実施、海上における両国間の連絡体制設置について議論していくことなどが合意されました。さらに、2011年7月の防衛次官級協議で緊急連絡体制を早期に構築することで意見が一致しました。その頃まで両国間の話し合いは順調だったのですが、翌年、尖閣諸島の関係などで日中関係が悪化し、連絡体制の設置についての話し合いも中断してしまいました。
21世紀の今日、国家間の戦争が起こる危険は少なくなっていますが、誤解により偶発的に紛争が起こる危険があります。緊急連絡体制は、事件が起こった場合に、相手国政府の意図を早く確認するのに役立ちます。また、事件の事後処理においてもおたがいに状況や処理方針を確認しあうことは重要です。
中断している日中間の協議を復活しなければなりません。日本側はいつでもこの協議を再開したい考えであり、たとえば2014年5月末にシンガポールで開催されたアジア安全保障会議(シャングリラ対話)でも、小野寺防衛大臣は中国側の代表に対し早期設置に向けた協議の再開・促進を呼びかけました。また、安倍首相はこの会議で「危険な遭遇を歓迎しない。交わすべきは言葉です」と発言しました。
これに対し中国側は、今は話し合いを進める状況にないと言っていますが、関係のよくない時にこそ緊急連絡体制が必要であるというのが日本側の考えです。
 冷戦中に米軍とソ連軍との間で何回も起こった衝突や対立は、その後両国間に協定ができて状況は改善されたと言われています。これ以外の国でも偶発的に起こった事件の拡大を防ぐ手立てが講じられています。日本と中国との間でも、危険の発生を未然に防止し、事件が起きても拡大しないよう協議するメカニズムの構築が待たれます。」

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