平和外交研究所

中国

2013.04.25

尖閣諸島に関する重要文献

領土問題については事実関係の解明が肝要と考えています。
石井望長崎純心大学准教授の論考のなかで指摘されていることに注目しました。
○明清時代の文献にはその領土の東端が海岸線か、あるいはそれより数十キロだけ沖に出ていたことを示す文献が多数存在する。『大明一統志』(1461年勅命により刊行)は福建省と浙江省の東端を「海岸線まで」と記していた。
○中国が好んで引用する明代の『籌海図篇』は海における防衛範囲を図解したものであり、そのなかでは領土、沿岸の島の駐屯地・巡邏地(防衛範囲)およびたんなる島すなわち海賊の勢力範囲(防衛外)を区別する必要があり、尖閣諸島は最後のカテゴリーに入っているので領土外と認識されていたことは明白である。
○『皇明実録』(明朝の公式日誌)は明国の人質を送還するため長崎から福建に派遣された使節(明石道友)と福建の役人(韓仲雍)の会話を記録しており、福建の役人は「東湧島(現在の馬祖列島東端 大陸から約40キロ)」までを海防範囲と示しつつ、それより東側の海域は「華夷の共にする所」、すなわち公海であると説明した。福建史の重要史料『湘西紀行』は、この日本側使節が、上司よりかたく命じられているとして「大明の境界に入らず」、すなわち明国の領内には入らないと述べたことを記している。

2013.04.23

中国の核政策

4月22日、ジュネーブにおける核不拡散条約(NPT)再検討会議準備委員会において、中国外交部の軍縮局長は、「中国はいかなる時も、いかなる状況でも核兵器を先に使用することはしない。また、非核兵器国および非核兵器地帯に対し無条件で核兵器を使用、あるいは使用の脅しをしない」と宣言した。
これは中国が何回も繰り返し述べてきたことであり、新味はない。先に使用するか否かが問題になるのは核兵器の保有国同士の間であるが、中国以外の核兵器保有国は、先に使用したか否かは検証困難なので、中国の宣言していることに対しあまり意味はないと批評している。
核兵器を保有しない国は、中国に限らず核兵器保有国に対し核を使用しないことを法的に約束してほしいと要求しているが、核兵器保有国はそれに応じようとしない。つまり、今までの宣言は政治的なものにすぎず、もし何らかの事情で使用しても法的には責任を問われない状態になっている。今回の中国外交部軍縮局長の発言も同様の政治的宣言である。
さらに、核兵器を保有しない国は、米国などの核の傘で守られている国とまったく守られていない国に分かれ、前者についても中国は核を使用しないかというと、そのように扱わない。したがって日本に対して核を使用しないとは言わない。
中国は、核兵器を保有しない国との関係は他の核兵器国と同じであると主張しているが、核兵器保有に関する情報開示の点では他のどの核兵器保有国よりも遅れている。これは核兵器に限ったことでなく、通常兵器についても情報の開示は遅れており、国連などにおいてそのことは何回も指摘されている。
中国に限ったことではないが、核兵器に関する表向きの表明とは裏腹になすべきことは多々ある。

2013.04.18

中国の国防白書

4月16日、中国政府が2年ぶりに発表した国防白書に「一部の隣国は中国の領土主権と海洋権益に干渉し、問題を複雑化し、拡大させる挙動を行なった」「日本は釣魚島問題でもめ事を起こした」などの記述があり、日本の新聞各紙はかなり大きく、批判的に報道している。たしかに、この国防白書の描写は一方的であり、問題である。日本政府が抗議したのは当然であった。
一方、白書全体のバランスにも注意が必要である。右に引用した部分は白書の冒頭で世界情勢を述べるなかで出てくるものである。各論では、海上交通の安全確保、通信、補給、ヘリコプター訓練、救助、検査など各種訓練の面で日本を含む他国との協力、さらには東日本大震災における中国チームの救援活動などにも言及しており、全体として反日傾向が強いわけではない。
尖閣諸島問題にこれまで中国軍は直接関与していなかっただけに、日本を名指ししている今回の白書は注目されるが、中国軍が尖閣諸島問題に関して新しい方針で臨んでいると判断はできないと思われる。

このページのトップへ

Copyright©平和外交研究所 All Rights Reserved.