平和外交研究所

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2013.10.05

無人機攻撃の規制

最近無人機による攻撃により市民が犠牲になるケースが増えている。無人機攻撃は一刻も早く規制すべきであるが、何を規制するかだけでも一大難問である。無人機は汎用品であり、農薬の散布、密入国者の捜索、科学的調査などには欠かせない。ラジオ操作で飛ばす小型飛行機などは趣味に属することであるが、これも規制しようものならごうごうたる非難が湧き上がるであろう。
旅客機を無人飛行させる計画もあるそうだ。そんな飛行機に乗るのは金輪際ごめんだと思うが、ロケットで月へ旅行する日が近づいてきていることを考えると、有人機は安全、無人機は危険というように単純に割り切れないかもしれない。
一部鉄道では、「ゆりかもめ」のようにすでに使われているし、リニア鉄道も無人操作らしい。いずれも一昔前の感覚では、危険である。
では、無人機を軍事用に使用することはできるかと言うと、とくに偵察用の無人機を規制することは非現実的だろう。
無人機に兵器を搭載するのを禁止できるか。兵器搭載の無人機はロケット(ミサイル)とほぼ同じであると考えれば、これも困難である。
問題なのは無人機そのものでなく、それが非人道的な被害を起こすことであり、そこに焦点を当てていかなければならない。たとえば、無人機で攻撃する場合には録画を義務付け、国連などが提出を命じられるようにするのはどうか。それが嫌なら、無人機を一切使わせないということなら合意が成立する可能性があるようにも思う。

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2013.10.03

米韓軍事協力の確認

韓国を訪問中のヘーゲル米国防長官と韓国のキム・クワンジン国防相は、戦時の韓国軍の指揮を米軍から韓国軍に返還する取り決めの実行を2015年まで延期することを話し合ったと報道されている。この合意は最初2007年に結ばれ、2012年から実施されることになっていたが、いったん延期されていたので、今回最終的に決定されれば、2回目の延期となる。この延期は、米国軍を朝鮮半島から撤退させないために韓国側から要望したことであり、その理由は北朝鮮の脅威に対抗するためである。ヘーゲル長官は韓国滞在中に28500人の駐韓米軍兵士を減らさないとも表明している。
また、両者は、北朝鮮が核攻撃を始めることが明らかになれば、米韓両軍は北朝鮮に先制攻撃を加えることにも合意したと、韓国の新聞が伝えたが、ロイターやAPなどはそのような合意はないとするか、明らかでないと否定的に伝えている。常識的にはロイターやAPのほうが正しい。米軍が先制攻撃に合意するなどほぼありえないことである。
北朝鮮は、ヘーゲル長官とキム・クワンジン国防相の会談を「米国の対北朝鮮敵視政策」の証として喧伝するだろう。北朝鮮のパク・キルヨン(朴吉淵)外務次官は1日、国連総会の一般討論演説で、「朝鮮半島の緊張激化の悪循環は米国の敵視政策が原因」と、北朝鮮のかねてからの主張を繰り返したばかりである。
いずれにしても今回の出来事に新味はなさそうである。米韓としては、北朝鮮の反応を当然予想しつつも、今後の軍事協力を確認せざるをえなかったのであろう。これは半年前までは当然のことであったと思われるが、北朝鮮は、金正恩の不思議な采配の下で、今はかなり違う姿勢を見せていると考えれば、どうもちぐはぐな感じが残る。それだけでない。韓国としてもかなり我慢をしつつケソン工業団地の再開に協力していることとも平仄が合わないのではないか。

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2013.10.02

習近平にとっての難問ー革命か経済成長か

キヤノングローバル戦略研究所のホームページに10月1日掲載されたコラム

今年の11月に、第18期3中全会という中国共産党の重要会議が開催される。約1年前の第18回全国代表大会で習近平体制が成立してから第3回目の中央委員会全体会議という意味である。3中全会というのは歴史上何回もあったが、重要な会議になることが多く、なかでも1978年12月に、鄧小平の指導下で改革開放政策を決定した第11期3中全会は有名である。
現在、第18期3中全会に向けて準備が進められているが、習近平主席は経済成長路線(厳密には政治体制改革と区別されるが、本稿では両方を含めて「経済成長」)をいっそう強化するか、それとも革命を重視するかの間で非常に困難なかじ取りを強いられている。改革開放を大胆に進め、驚異の経済成長を実現し、世界が注目する大国となった中国としてさらに富国強兵策を推し進めそうにも思われるが、ことは簡単でないらしい。深刻な格差、腐敗、社会不安などを問題視し、それへの対策を訴える強力な革命路線重視勢力が存在することは薄熙来の逮捕・裁判の背景にはっきりと見て取れた。
革命か、経済成長かという問題は、中華人民共和国の建国以来、時々の状況に応じて多少の違いはあるが、何回も繰り返されてきた問いであり、「左か右か」、「紅か専か」「放か収か」などと表現されたこともあった。
習近平は就任以来経済面での一層の改革に熱意を示す反面、革命路線も重視してきた。その一つは反腐敗闘争であり、それを担当する規律検査委員会に対し、「ハエだけでなく虎もたたけ」と督励した。最近、国有資産監督管理委員会主任(大臣クラス)の蒋潔敏および中国の誇る世界的巨大企業、中国石油天然ガス集団公司(CNPC)の幹部4名(蒋潔敏はCNPCの前会長であった)や人民検察院検察長の曹建明など大物に対して汚職調査を開始したことは、まさに虎への攻撃であり、習近平の実績としてカウントされるであろう。
もう一つは、特権を持たない大衆への配慮を重視し、役人風を吹かせたり、地方に接待を強要したりしてはならないなど従来の悪習を改善することを求める八項目の注意規定を定めたことである。これは中国で「整風」と呼ばれている。これまた歴史的に何回も行なわれてきたことであり、現在、「医療から教育まで、国有企業から中央政府まで、官から民まで」中国社会のいたるところで「整風」が展開されているという報道もあるが、どこまで実行されているかが問題であり、行政の現場で抵抗があるのはもちろん、学者にも批判的な者がいるそうである。政権成立から半年後のさる6月に政治局の特別会議を開いたのも、このような努力が順調に進んでおらず、関係各部門に発破をかけようとしたからであると見られている。
反腐敗運動にしても、「整風」にしても程度問題であるが、もっと厳しい路線対立が習近平を悩ましている。今年の4月、党中央は「9号文件」なるものを発出していた。これは公表されていないが、後に一部の学者がニューヨーク・タイムズ紙にリークしたそうである。同文件は、「普遍的価値」「新聞の自由」「公民社会」「公民の権利」「中国共産党の過ち」「権貴資産階級(権力と富を持つ特権階級のこと)」および「司法の独立」を話題にすること禁止した。これらを少しまとめて普通の日本語で表現すると、一つは「民主化要求は許さない」であり、これは昔からの問題で、一党独裁である限りそういうことであるのは驚くに値しないが、もう一つの「毛沢東の過ちも、特権階級のことも論じてはならない」ということであれば政治を語るのはほぼ不可能になる。あまりに厳しい締め付けなので、「七不講」という綽名が付けられている。
8月19日、中国は「全国宣傳思想工作会議」を開催した。この会議では、とくにインターネットがやり玉に挙げられ、かなり激しい議論になったらしい。この会議に関連して、北京日報は、「西側の反中国勢力はインターネットを利用して「中国の打倒」を図っている。我々がこの戦場においてそのような試みを制止し、打ち勝てるか、思想工作と政権の安全に関わっている。この陣地を我々が占領しなければ、彼らに取られてしまう」「思想工作は、硝煙が見えなくても、死活にかかわる点では同じことであり、戦って初めて生存を確保することができる」などといった評論を掲載している。誇大表現が好まれる国であることは斟酌しなければならないが、他の国には理解不可能な、政権の維持についての懸念さえにじみ出ている。
ごく最近、中国政府はインターネットで民主化を訴える人物を相次いで逮捕しているが、このような路線闘争と危機意識がその背景となっていると見るべきであろう。また、日本に派遣していた中国人(複数)を拘留しているのも、政府から見て彼らが期待にこたえていないということもさることながら、そのような思想工作面での締め付けと関係があると思われる。国内が緊張すると、その波及は直接関係していないことにまで及ぶのは過去に何回もあったことである。
このように、革命路線を重視する勢力は強くなっている状況のなかで、習近平主席のかじ取りは政権発足当時よりはるかに困難になっている。第9号文件を習近平が許可したのは明らかであるが、そのなかで示された厳しい締め付けはすべて習近平の本心なのだろうか。習近平は、「毛沢東思想を無視すれば天下大乱に陥る」などと述べて革命重視に同調しているが、「毛沢東思想の30年と鄧小平理論の30年を統合しなければならない」とも述べている。この場合の「毛沢東思想の30年」とは革命路線であり、「鄧小平の30年」とは経済成長重視であり、どちらも重要だと言っている。
人民日報などは、「幹部は旗幟を鮮明にすべきである」とさかんに呼びかけている。間接的ではあるが、習近平主席に対してもっと明確な態度を取るよう促していると解せないこともない。左とも右ともはっきりしないのは共産党の総書記としてよいことかもしれないが、状況はかなり微妙である。1980年代、鄧小平は大胆に改革開放せよと檄を飛ばしながら、民主化運動に対して流血の弾圧をも辞さなかった。現在はそのときと状況が違うが、革命か経済成長かという路線をめぐる争いがあることは変わらないようである。

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