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2013.10.20

「特別警報」は有益か

伊豆大島において大規模な土砂災害が発生し、多数の方が亡くなられた。心からお悔やみ申し上げるとともに、行方不明者の一刻も早い発見を切望している。
この災害で「特別警報」が出なかったことが適当か、議論を呼んでいるようであるが、「特別警報」という、特別の種類の警報を新設すること自体が疑問である。
「特別警報」は、大変な事態であることを伝えるのに役立つとは思う。どのような危険もその実態は複雑であるが、危険性を一言で伝えているからである。しかし、基準に照らすと「特別警報」には少し届かない危険の場合が問題である。この場合も「警報」は出ているので、理論的には警戒すべきであるが、警報を受け取る一般国民にとっては、「特別警報」と普通の「警報」では重みがまるで違うので、大したことはない、と思ってしまうのではないか。とくに、今回の伊豆大島で起こった災害のように、基準には達しないが非常に危険な状況がある。
今次災害の発生後、基準を見直すべきであるという意見が出てきている。検討するのはよいが、基準すれすれで「特別警報」に該当しないと警戒されなくなるという問題は解消しない。これは「特別警戒」と「警戒」の区別がある限り付きまとう問題である。
「夏日」「真夏日」というネーミングにも同様の問題があり、最高気温が24.9度の場合は「夏日」でないが、実際には25度以上の場合と違わないどころか、湿度や風の有無で人が感じる不快さは逆に高くなることもある。
「夏日」などはそれほど深刻でないかもしれないが、「特別警報」は生命の危険にかかわる問題である。それより、等級で危険度を知らせるほうがよいのではないか。天気予報ほど全国民が注目することは他にない。気象庁の賢明な対応を期待したい。

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2013.10.19

中国学者の冷静な日本経済観

財経網(信頼性の高いサイト)が趙暁北京科技大学管理学院教授の「日本の産業の実力は中国のはるか上にある」と題する冷静な論評を掲載している(2012.11.07)。趙教授はこれを問いかけのように扱い、「その答えは明らかに否定的である」と言いながら所説を展開しているが、実際には日本のほうが進んでいることをるる述べている。筆者の最初の否定は、狂信的な批判をかわすためのまじないであろう。
一つは、日本円の対ドルレート上昇に関する記述であり、「ドルで測れば日本の不動産価格も株価も下落していない。輸入の面では有利になったし、海外投資は増加した」などと分析している。
その他、次のような記述もある。
「日本は成熟した工業化の段階にあり、中国は工業化している途中である」「日本ではもはや財の蓄積を追及するのではなく、生活の質の向上を求めている」「中国はまだ社会主義の初級段階にあり、小康社会の全面的実現のため努力している」「日本の工業の基礎は堅実で、すぐれた産業構造と穏健な実体経済を擁している。中小企業は細かい分業体制になっており、これらはいずれも我々が短期間に及ぶところでない」「日本経済は、国内循環の面でも国際循環の面でも優れている。ハイテクのみならず、農業、食品加工、日用品などローテク分野でも良好な自給体制を実現しており、同時に、輸出需要にも応じている。」
一部、日本人として恥じ入りたくなるようなほめ言葉も含まれているが、中国にはいろんな人がいることを忘れないためにここに掲げた。

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2013.10.18

革命派と既得権益のせめぎあいか

三中全会を来月に控え、革命路線をめぐるせめぎあいか。
(革命路線重視派)
○最近、「群衆路線教育実践活動領導小組」は「習近平が行なった重要講話をよく学習し、民主生活会を立派に開催することに関する通知」を発出した(新華網 10月4日)。批判・自己批判をよくし、形式主義、官僚主義、享楽主義および浪費・贅沢の四問題の解決を促し、「民主集中制」を強調、すなわち党の方針にしたがうことを要求するなど厳しい革命路線重視である。
○独立の学者、高瑜によれば、薄熙来の裁判は左派のなかで強烈な反発を生み、同人に対する支持はさらに強まるであろう。いわゆる普遍的価値、新聞の自由、公民社会、公民の権利、中共の歴史における誤り、「権貴ブルジョワ」および司法の独立を話してはならないとする「七不講」は毛沢東時代の「革命化を歌う」ことに戻ることである(明報20130923)。
○「普遍的価値」を主張する者は、マルクス主義をマージナライズし、既得権益集団に各種の方法を用いて利益を得させようとしている(新浪微博20130904)。
○鄧力群の自叙伝の出版。胡耀邦との関係、恩怨を論じている。左派の代表である鄧力群の擁護か(多维历史)
○周恩來の研究者、高文谦が海外で出版した『晚年周恩来』には問題があるとして毛沢東を擁護。
○毛沢東の『反对本本主義』の原名は『調査工作』で、毛沢東は教条主義に反対し、調査の重要性を説いていたと論じるもの。
○習近平の8・19講話で宣伝工作の在り方についてしばしば言及、批判し、指導幹部はいくつかの「ハケ」を持っていなければならない(色を変えて塗ること、つまり、いくつかの顔を持つことか。)、群衆を信服させることも、「中国の夢」を「概念化」することも「通俗化(庸俗化)」することも批判しなければならないと述べた(多维新闻20131006)

(革命路線批判派)
○習仲勳と胡耀邦との密接な関係を描いた『文史参考』の出版。
○習仲勳の生誕百周年記念に同人の開放改革への功績をたたえた論文。

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