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2014.08.23

巨大な中国の人口

○中国人の海外旅行者数は2013年がのべ9819万人、2014年はかなり増加しており、1億1500万人を突破すると中国国家旅游局の邵琪偉局長が語った。米国への旅行者は2008年の256万人から急速に伸びており、2013年は405万人に増えた。ただし米国の統計ではもっと少なく、2013年の中国人の訪米は180万人強であるが、増加傾向は変わらない。米国商務部では、2017年には訪米する外国人旅行者の中で中国人が最も多くなると予測している(新華網2014年6月30日)。
日本人の海外旅行者数は2013年が1750万人だったので、単純に比較すると中国人の海外旅行者数の5・6分の1である。

○2014年5月27日、ロスアンジェルスで7千人の中国人旅行者が一緒に写真撮影し、国歌と「昇起五星紅旗」を合唱した。旅行中の数字であったが、1人平均1万元を消費していた。これは普通の旅行客の4倍であった(新華網5月29日)。
多数の観光客が来て、おおらかにカネを落としていくのは米国にとって歓迎すべきことであろうが、7千人が集まって中国の国家を歌うのを米国人はどのように受け止めただろうか。反発したり、眉をひそめる人が多数いても不思議でない。
新華社はどのような気持でこれを報道したのかも気になる。

○観光客とは比べ物にならない小さい数であるが、中国人妊婦が米国で出産することも注目されている。これは全体の数はまだ小さいとしても、特定の場所で集中的に起こっており、現地では目につくのはもちろんである。時々報道もされている。これは新華社でなく、日本などのメディアである。なぜ旅費などを払ってそうするか。一つは米国籍の取得であり、また、米国では医療水準が高く安心して出産できるからであると言われている。
この問題は危険水域に入りかけているようである。2013年に米国で出産する中国人妊婦は2万人に達すると人民日報系の経済紙『国際金融報』が書いている(『朝日新聞』8月23日)。地元住民は、妊婦のためのホテルに反対する運動を起こしており、「福祉へのただ乗り」とも言っている。

○米国は裕福な中国人が米国で投資をして移民することを可能にする道を開いている。1990年に時限立法で制定された投資移民制度であり、100万ドル(約1億円)、失業率の高い地域では50万ドルを投資し、米国人10人を雇うなどの条件を満たせば、投資家にビザが、ゆくゆくは永住権が与えられる。2015年まで延長され、恒久化されるとの観測もある。外国人投資家を受け入れるために受け皿として「地域センター」が全米で300以上つくられている。オークランドでは設立から約2年半で2700万ドル(約27億円)の投資を集めた。99%が中国からだという(これも上記『朝日新聞』)。
このような投資をするのは子弟の教育が目的であると答える人が多い。教育の関係では、ハーバード大学など一流大学でも中国人留学生が顕著に増えており、彼らが集まる時はこれが米国かと思われるような雰囲気になるそうだ。「ハーバード大学はまるで中国共産党幹部を養成するための分校になっている」と言われることもある。

このような出来事にはいくつか注目すべき点がある。
○個別のケースを見ると、中国人が米国で出産することであれ、米国で国家を歌うことであれ何も非難されることはないが、あまりにも数が多く、また特定の場所に集中して起こるので摩擦や反発が生じている。
○中国の人口があまりにも多いことが根本的な問題であり、世界がグローバル化し、行き来が自由になったので問題が起こりやすくなっている。
○中国が目覚ましい経済発展をし、その結果裕福な中国人が多くなった。いわゆる富も権力も得ている中国人は1%くらいと比率は少ないが、絶対数は1千万人以上である。海外へ旅行に行ける人の数はその何倍にも上るのであろう。
○人口だけであれば、インドも超大国であるが、中国は共産党の一党独裁体制の下にあり、それに対する幻滅感、不信感が海外への逃避傾向の一因となっている。
○中国の規模、とくに人口が大きいことの意味を米国人もよく認識していないのではないか。
○各国も中国も、このような中国の巨大さの持つ意味をよく認識し、お互いにコントロールしつつ中国人と各国の人たちとの交流を漸進的に増やしていくのが健全な道ではないか。

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2014.08.22

ロシア・ウクライナ両大統領の会談が実現する?

8月26日にウクライナとロシアの大統領がベラルーシのミンスクで会談するそうだ。EUのアシュトン外交安全保障上級代表、ベラルーシのルカシェンコ大統領、カザフスタンのナザルバエフ大統領も出席する協議の場であり、ポロシェンコ大統領とプーチン大統領との2人だけの会談があるかどうかははっきりしないが、2人だけで会わなくても現在の緊張した関係にかんがみれば重要な機会になるのは間違いない。
両大統領は去る6月、フランスのノルマンディーで会ったが、その後マレイシア機の撃墜事件が起こりロシアとウクライナおよび欧米諸国の関係は非常に悪化していた。一方、ウクライナ東部ではウクライナ政府の攻勢が強くなり、親ロシア派の武器、食料などは欠乏しかけていた可能性があり、それに対するロシアからの陸路補給が新たな問題となっていた。
ロシアは、米欧諸国や日本の追加制裁に反発して逆に欧米系の店舗の営業停止を求めたり、日本も含め西側からの入国を制限したりしている。
26日にポロシェンコ大統領とプーチン大統領の会談が実現すれば、双方で突っ張りあっている状況を緩和する機会が生まれるかもしれない。大した理由もなく楽観的になるわけにはいかないが、少なくともロシアをめぐる状況はよくないし、プーチン大統領の立場も複雑であろうし、今回の会談はロシアの姿勢を測る一つの機会になるのではないか。

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2014.08.21

尖閣諸島に対する中国の変化?

8月15日付の『日本経済新聞』は、尖閣諸島に対する中国の行動に変化が見られることを報道している。

「中国が、尖閣の揺さぶり戦術を変えはじめた。」
「いちばんはっきりしているのが、尖閣周辺の領海に、中国船が侵入する頻度が下がっていることだ。今年1~6月に侵入した中国船は延べ40隻。月平均にならすと、6・6隻だ。昨年同期(94隻、月平均15・66隻)の半分以下に減った。」
 「1回当たりの侵入時間も短くなってきた。昨年は4時間を超えることも少なくなかったが、今春以降はほぼ2~3時間で推移しているという。」
 「これだけではない。昨年まで繰り返された危うい挑発にも、一定の抑えが効くようになった。政府関係者らによると、尖閣付近では昨年、中国船が日本の漁船を捕まえ、法執行をしようとしたり、日本の巡視船の進路に割って入ったりする動きがあった。だが最近、こうした行為はかなり減った。日本漁船を強引に追いかけ回すのはやめるよう、中国当局が指示を出したとの情報もある。」
「中国軍に近い日中関係筋によると、中国の安保担当者らは「監視船を増強し、いまの頻度で(領海侵入を)続ければ、日本の実効支配は着実に崩れていくと判断している」という。」
「この緊張がさらに高まれば、中国は南シナ海にも多くの監視船を配備しなければならない。その分、尖閣に回せる隻数は減る。南シナ海の状況は、中国の尖閣対応に大きく影響する。中国に精通した元米政府高官はこうみる。」

この記事は興味深い。中国の環球網(人民日報傘下)さらには台湾の聯合報も転載ないし、それを引用して報道している。
2つの異なる解釈が紹介されているが、両方とも正しい可能性もある。

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