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2014.08.31

ロシア兵の越境問題

ロシア兵が国境を越えウクライナ領内に入っていることがほぼ確実になった。ロシア政府は相変わらず否定し、ウクライナ側に拘束された兵士は誤って国境を越えたとか、上空から撮影された写真はねつ造であるなどと主張しているが、親ロシア派さえ記者会見でそれを認めているので否定の余地はなさそうだ。ただし、国境を越えているロシア兵はロシア政府が正規に命じた派遣でなく義勇軍のように兵士の個人的行動である可能性はある。それにしても車両を何十輌も連ねての行動なので、実質的にはロシア軍としての行動に他ならない。
8月26日にウクライナのポロシェンコ大統領とロシアのプーチン大統領が長時間会談した。会談すること自体事態の打開へ向けての前向きの行動になりうると期待されたが、どのような成果があったかよく分からない。この会談と並行して、ウクライナは前日の25日にロシア側から越境した装甲車群を攻撃した際に拘束したとするロシア兵士の映像を公開した。
ポロシェンコ大統領との会談についてプーチン大統領は29日、ロシアのトヴェリ州で開かれた青年との対話フォーラムで、ウクライナで拘束されたロシアの空挺隊員をロシアに返却することで合意したことを明らかにした。プーチン大統領はさらに、ウクライナ軍人も何度となくロシア領内に入り込んでおり、その数は何十人、いや何百人に上るが、彼らは単に紛れ込んだだけだと言っているとも語っている。事実関係は複雑なのだろうが、空挺部隊が国境付近にいたこと自体弁明にしようのない行為であると思う。

ロシアの立場はさらに悪化している。欧米諸国はさらなる追加制裁に言及し始めている。プーチン大統領は青年との対話で、ロシアは核兵器を持つ軍事大国であるなどとも発言したそうだ。青年を安心させるために言ったことかもしれないが、ロシアが各国に対して引けを取らないと胸を張れるのは軍事力だけになりつつある。ロシアは冷戦終了後G8の一員となり、安保理の常任理事国であることにさらに国際的看板が増えた。今や、その一枚ははがされてしまった。BRICsの一員であるが、影は薄い。国連では中国と同じく保守的な勢力として西側には厄介な交渉相手であるが、それも半分以上中国がいるからではないか。ロシアが中国に依存しているとは思わないが、中国に比べてロシアの政治力は弱い。
経済面ではロシアの石油と天然ガスは欧州諸国との相互依存関係を深める手段であるが、ドイツも含め欧州はそのことを見直さざるをえないだろうし、米国のシェールガス開発の影響も中期的には及んでくるだろう。ロシア経済はあまりにもエネルギー依存が強く、欧州諸国よりもロシア自身がロシアのエネルギーに依存している。オバマ大統領が、ロシアはかつてないほど孤立しているというのは重みのある発言である。

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2014.08.30

軍内の習近平派

多維新聞8月30日付は、軍内の習近平派について次のようなことを報道している。

○軍内では許其亮、張又侠、房峰輝、劉源および劉亜洲の「五虎将」が習近平に近い人たちである。これらの人はいわゆる「紅二代」として習近平との関係が密接である。
○10月に開催される四中全会(中央委員会第4回全体会議)でこの5人は中央軍事委員会に入り、許其亮、張又侠および劉源は副主席に、劉亜洲は国防部長に、房峰輝は総参謀長に就任する。副主席にはこのほか劉福廉、総政治部長に張揚、総装備部長に蔡英挺などが就任する。
○劉少奇の子、劉源は習近平の盟友であり(ともに太子党)、現在総後勤部の政治委員として軍内の反腐敗運動に参謀的役割を果たした。その功績は非常に大きい。
○現国防大学の政治委員の劉亜洲は、インタビューに応じ、敏感な問題である政治闘争に言及し、中共政権の命運は清朝末期よりも悲惨である、巨大な内部闘争の危機があるなどと論じた。

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2014.08.29

イスラエル・ハマスの無期限停戦

イスラエルとハマスが長期の停戦に合意したそうだが、両者が直接会って合意したのではないのでわかりにくい。諸報道を合わせてみると基本的な事実関係は次のようである。

○26日、双方は停戦を受け入れると発表した。それまでエジプトが双方に働きかけていたのに応じたものであった。
○今回の停戦合意には、従来のように期限がついていない。「長期停戦」とも言われるが、「無期限停戦」ということらしい。
○双方は交渉に戻ることとなった。ただし、これは発表には含まれておらず、エジプトの政府官員が米国のメディアに語ったことである。
○双方の発表には基本的な問題点の取り扱い争いは含まれていない、つまりイスラエル・ハマス間の関係には言及していないが、イスラエルはガザの封鎖を緩和し、援助物質の国境通過(ガザへの)制限を緩和し、漁業区域を沿岸から6マイルにまで拡大することに合意した。これもエジプトの官員が言っていることである。
○停戦の条件は1か月前と同じで、その時イスラエルは受け入れ、ハマスは拒否した。ハマスにとっては態度を和らげたことになる。なぜ今回合意したのかについては種々解釈されており、ハマスの指導者がイスラエルによって暗殺されるのを恐れたからだという解釈もある。
○今回の停戦について米国はエジプトの努力をたたえているが、米国自身の仲介者としての力は落ちている。ケリー長官はイスラエルに10回以上行って試みたが、成功しなかった。オバマ大統領は就任直後から中東和平の実現を重要視していたが、期待を裏切る結果になっている。
○エジプトでは2013年夏、親ハマスの政権がクーデタで打倒され、今年の6月に反イスラムのシーシ政権が誕生した。

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