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2014.09.01

中国雑記 8月31日まで

○8月22日、新華社は国家発展改革委員会財政金融部の張東生前部長が取り調べを受けたことを報道した。この部は企業債の発行を許可する部署である。張東生はその許可の過程で不正を働いた嫌疑をかけられているようである。
本件は反腐敗運動の火が金融部門にまで及びつつあることを示している。反腐敗の元締めである王岐山政治局常務委員は金融界の出身であり、今後その知識を使ってどんな暴露をし、運動を進めていくか注目される(『多維新聞』8月22日)。
○諸方面からの情報によると、北京市は課長級(处级)以上の幹部については、私用での出国は原則として許可しないこととするそうである。特殊な場合には厳格な審査を経て許可を受けることが可能である。さらに多くの単位では、課長級以上の幹部に私用旅券を提出させ、集中管理している。(『北京青年報』8月29日)
○8月29日開催された政治局会議で国営企業の責任者の給与体系を改革し、厳格に管理する方針が採択された。会議を主催したのは習近平主席であった(新華社8月29日)。

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2014.08.31

ロシア兵の越境問題

ロシア兵が国境を越えウクライナ領内に入っていることがほぼ確実になった。ロシア政府は相変わらず否定し、ウクライナ側に拘束された兵士は誤って国境を越えたとか、上空から撮影された写真はねつ造であるなどと主張しているが、親ロシア派さえ記者会見でそれを認めているので否定の余地はなさそうだ。ただし、国境を越えているロシア兵はロシア政府が正規に命じた派遣でなく義勇軍のように兵士の個人的行動である可能性はある。それにしても車両を何十輌も連ねての行動なので、実質的にはロシア軍としての行動に他ならない。
8月26日にウクライナのポロシェンコ大統領とロシアのプーチン大統領が長時間会談した。会談すること自体事態の打開へ向けての前向きの行動になりうると期待されたが、どのような成果があったかよく分からない。この会談と並行して、ウクライナは前日の25日にロシア側から越境した装甲車群を攻撃した際に拘束したとするロシア兵士の映像を公開した。
ポロシェンコ大統領との会談についてプーチン大統領は29日、ロシアのトヴェリ州で開かれた青年との対話フォーラムで、ウクライナで拘束されたロシアの空挺隊員をロシアに返却することで合意したことを明らかにした。プーチン大統領はさらに、ウクライナ軍人も何度となくロシア領内に入り込んでおり、その数は何十人、いや何百人に上るが、彼らは単に紛れ込んだだけだと言っているとも語っている。事実関係は複雑なのだろうが、空挺部隊が国境付近にいたこと自体弁明にしようのない行為であると思う。

ロシアの立場はさらに悪化している。欧米諸国はさらなる追加制裁に言及し始めている。プーチン大統領は青年との対話で、ロシアは核兵器を持つ軍事大国であるなどとも発言したそうだ。青年を安心させるために言ったことかもしれないが、ロシアが各国に対して引けを取らないと胸を張れるのは軍事力だけになりつつある。ロシアは冷戦終了後G8の一員となり、安保理の常任理事国であることにさらに国際的看板が増えた。今や、その一枚ははがされてしまった。BRICsの一員であるが、影は薄い。国連では中国と同じく保守的な勢力として西側には厄介な交渉相手であるが、それも半分以上中国がいるからではないか。ロシアが中国に依存しているとは思わないが、中国に比べてロシアの政治力は弱い。
経済面ではロシアの石油と天然ガスは欧州諸国との相互依存関係を深める手段であるが、ドイツも含め欧州はそのことを見直さざるをえないだろうし、米国のシェールガス開発の影響も中期的には及んでくるだろう。ロシア経済はあまりにもエネルギー依存が強く、欧州諸国よりもロシア自身がロシアのエネルギーに依存している。オバマ大統領が、ロシアはかつてないほど孤立しているというのは重みのある発言である。

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2014.08.30

軍内の習近平派

多維新聞8月30日付は、軍内の習近平派について次のようなことを報道している。

○軍内では許其亮、張又侠、房峰輝、劉源および劉亜洲の「五虎将」が習近平に近い人たちである。これらの人はいわゆる「紅二代」として習近平との関係が密接である。
○10月に開催される四中全会(中央委員会第4回全体会議)でこの5人は中央軍事委員会に入り、許其亮、張又侠および劉源は副主席に、劉亜洲は国防部長に、房峰輝は総参謀長に就任する。副主席にはこのほか劉福廉、総政治部長に張揚、総装備部長に蔡英挺などが就任する。
○劉少奇の子、劉源は習近平の盟友であり(ともに太子党)、現在総後勤部の政治委員として軍内の反腐敗運動に参謀的役割を果たした。その功績は非常に大きい。
○現国防大学の政治委員の劉亜洲は、インタビューに応じ、敏感な問題である政治闘争に言及し、中共政権の命運は清朝末期よりも悲惨である、巨大な内部闘争の危機があるなどと論じた。

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